読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

苺チョコレートをまるかじり

観賞した映画(DVD、TV放送含む)の感想をつらつらと書いていきます。独断と偏見による☆評価 満点は★5

女性目線で選んだ戦争映画ベストテン!

今年もワッシュさんのベストテン企画に参加させていただきます。

 

 

d.hatena.ne.jp

 

 

 

  1. 紙屋悦子の青春(2005年、黒木和雄監督)
  2. この世界の片隅に(2016年、片渕須直監督)
  3. 太陽(2005年、アレクサンドル・ソクーロフ監督)
  4. ライフ・イズ・ビューティフル(1997年、ロベルト・ベニーニ監督)
  5. 日本のいちばん長い日(2015年、原田眞人監督)
  6. ディアハンター(1978年、マイケル・チミノ監督)
  7. 大脱走(1963年、ジョン・スタージェス監督)
  8. 戦場でワルツを(2008年、アリ・フォルマン監督)
  9. ある愛の風景(2004年、スサンネ・ビア監督)
  10. 太陽の帝国(1987年、スティーブン・スピルバーグ監督)

 

 

ちなみに、昨年は「音楽映画ベストテン」でした。

 

minmin70.hatenablog.com

 

 

いやー、悩みに悩みましたねー。ただ、一位と二位は即効決まりました。

特に二位に入れた「この世界の片隅に」は戦争映画としてもアニメーション映画としても日本映画としてもベスト級に素晴らしかった。これを入れずに何を入れるかって話よ。

一位は個人的に思い入れの深い映画を選びました。あとは誰もが知る名作・良作がほとんどになってしまったな…。そもそもあまり戦争映画は詳しくないし、戦闘描写満載な軍隊ものも得意ではないので、なんとはなしに「女性目線」なラインナップになったかなーと思います。

 

以下、私観をば。

 

 

 

紙屋悦子の青春

紙屋悦子の青春 [DVD]

 

わたしはこの映画を2006年に岩波ホールで観たのですが、もうね、とにかく大泣きしてしまいまして。
しかも、映画を観ている最中ではなく、帰りの電車の中で(笑)。何というか、いろいろな感情が後からじわじわ来る感じで、自分でもびっくりするくらい、もうどうしようもなく涙が止まらなくて。必死に抑えてはいたんですけどね…乗り合わせた人はおそらくぎょっとしてたんじゃないでしょうか(汗)。
当時の自分の心持ちなどの影響もあったのでしょうが、観賞後あんな気持ちになったのは後にも先にもこの映画だけです。

元は舞台用戯曲らしく、会話劇が中心。ほとんどのシーンが主人公悦子の家の中で繰り広げられ、登場人物も5人と少ないため、絵面はかなり地味です。
また、他の戦争映画のように、作中に戦火を感じさせる描写は全くなく、ぱっと見ほのぼのとしたホームドラマのようでもあります。それにも関わらず、セリフの随所に垣間見える市井の人の戦争への思い、役者さんたちの何気ない表情の変化から、戦争の悲劇性やそれを堪え忍ぶしかない人々の苦悩を感じ取ることができます。
監督は「美しい夏キリシマ」や「父と暮らせば」の黒木和雄。2006年の4月に今作の公開を待たずして亡くなってしまったため、残念ながらこれが遺作となってしまいました。

主人公、紙屋悦子を演じたのは当時39歳の原田知世。悦子は見合いを控えている女性ということで、おそらく20代の設定だろうとは思うのですが不思議なことに、ほとんど違和感がない。さすがは年齢不詳女優、原田知世…。その佇まいは、自分の心を秘するしかなかった当時の女性そのものです。達観と言えるほど潔くもない、諦めと言えるほど割り切ってもいない。なんとも複雑で微妙な乙女心の機微。おそらく、現在の20代ではあの空気感を出すのは難しいだろうと思いますね。
兄嫁役の本上まなみもかなり好演していました。一人の女性としての戦争への思い、夫への愛情、親友であり義妹でもある悦子への思いやり…様々な気持ちを内包している役柄を朗らかに演じています。
また、登場人物たちはみな九州の方言で話しています。それがまたのどかな田舎の雰囲気を醸し出していて、会話劇の妙(話が噛み合わない、聞こえ間違いなどの可笑しみを含む)を感じさせます。とはいえそれにより、会話の端々から漏れる戦時中独特の悲壮感が一層際立つわけですが…。

派手さはなくともじんわりと心に染み入る戦争映画です。悲惨なシーンなどはないので、「戦争モノはちょっと…」と嫌厭しがちな女性にこそおすすめです。「永遠のナントカ」とか、「君のためにこそナンチャラ」辺りよりもよっぽど特攻隊について描かれていると感じたし、日本人の心に響く映画だと思います。

 

 

この世界の片隅に

感想などはこちらに書きました。

  

minmin70.hatenablog.com

 

いやほんと、すごい映画でした。喜び笑い悲しみ怒り安らぎ救い…この一本の映画の中に、あらゆる感情がつまっている。

それでもって、徹底して史料に基づいたという細部の描写もこだわりがすごい。

 

今年を代表する一作と言って良いと思います。興行収入ランキングが週を追うごとに上がっていくというこの状況もエモい。

 

 

太陽(2005)

太陽 [DVD]

この映画は、今は無き銀座のシネパトスにて立ち見で観たのを覚えています。あの場末な地下街の感じと映画内の地下豪の暗澹とした様子が妙にシンクロしてましてね。そして頻繁に往来する地下鉄の音と振動がまたなんともね…いやーいい映画館だった…。

と、それはさておき、今作で昭和天皇を演じたイッセー尾形があまりに昭和天皇過ぎて驚きます。皇后役の桃井かおりもいい味出してます。この二人に、孤独な夫とそれを優しく包む妻といった夫婦像を見ることができ、これはある意味夫婦愛映画ですね。

監督はロシアの名匠アレクサンドル・ソクーロフ(「エルミタージュ幻想」など)。外国人が描いているのに日本の描写に全く違和感がありません。幻想的な空襲描写は一見の価値あり。

唯一の難点は時系列が少しわかりにくいところ。歴史的な背景を詳しく知っていればまた興味深く観られるかも。

 

 

ライフ・イズ・ビューティフル

ライフ・イズ・ビューティフル [DVD]

今更わたくしごときがガタガタ抜かすのは憚られるほどの名作。とりあえず言っておきたいのは、戦車ドッキリ部門があれば間違いなく一位だろうと。

 

 

日本のいちばん長い日(2015)

日本のいちばん長い日 [DVD]

そっちなの⁈と言われるかもしれませんが、リメイク版の方です。「軍人とか出てきて、なんか堅苦しそう〜」と嫌厭している女性にこそ観て欲しいんですよ。今作はその辺りをターゲットにしていたことは間違いない(と、思う)。

まず、「良い男」がたくさん出てくる。イケメン枠の松坂桃李、渋担当に役所広司堤真一。他にも素敵な若者やおじ様がわんさか。ってこれはあれか、乙女ゲーか(笑)。おじいちゃん好きのわたしは山崎努のウィンクにズッキュンでしたけどね。あと、ちょいたるみ気味な役所広司の半裸に顔を赤らめるキムラ緑子にも萌えでしたねー。

…とまぁ、そんなキャラ萌えに浸りながら終戦の歴史を知るきっかけにもなると思います。戦争を終結させようとする者、それを拒む者…迫り来る1945年8月15日へのカウントダウン。その前夜、玉音放送をめぐり様々な人間たちがそれぞれの選択を迫られます。「耐え難きを耐え、偲び難きを偲び…」のかの有名な一節が流れる頃には思わず涙してしまいます。

昭和天皇を演じるは本木雅弘。なかなかに好演しているのですが、やはりわたしの中ではイッセー尾形に軍配。

 

オリジナルも名作です。

  


ディアハンター

ディア・ハンター デジタル・ニューマスター版 [DVD]

「タクシードライバー」より、こっちのデニーロの方が好き。ラストのロシアンルーレットの悲壮感と緊張感に何度観ても手が震える。

 


大脱走

大脱走 [Blu-ray]

母親がスティーブ・マックイーンが好きだったこともあり、子どもの頃何度か観たことがあって。その時は内容もよくわからず「刑務所からみんなで逃げる話」だと思って観ていたんですが、学生の時にデジタルリマスター版を劇場に観に行って、はじめて「ドイツ軍に捕らわれた捕虜たちの話」だったと知ったからびっくりですよ(もちろん自分の読解力の浅さに  笑)。

これ、改めて見返してみると本当にすごい映画。エンタメ性も申し分なし、史実を元にしているので物語の強度もしっかりしている。ラストは決して爽快ではないのになぜだか清々しい。そして、そこそこ重い話なのにテーマ曲は妙に軽い(笑)。

マックイーンだけでなく、ほかの脱獄者もそれぞれに個性があって、群像劇としての面白さがあるのも素晴らしい。「映画を観た!」って気持ちにさせられる名作だと思います。

 


戦場でワルツを

戦場でワルツを 完全版(初回生産限定) [DVD]
この映画で「ドキュメンタリーアニメーション」という言葉をはじめて耳にしました。ロトスコープ風の作画は3DCGや手描きアニメ、Flashの技法などを用いて作られたそう。

揺らめく光、歪んだ印影がなんとも幻想的で、ある意味実写と違って一歩引いて見ていられるのだけれど、ラストまで行って一気に現実に引き戻される。観終わってずーんと重たい気持ちにさせられます。

戦場に立つだけで、人はもう何かを背負わされているのだ。否応無しに。

 


ある愛の風景

ある愛の風景 スペシャル・エディション [DVD] 

デンマークの女性監督、スサンネ・ビアの作品。アフガニスタンに派遣された軍人の夫が、別人のようになって帰って来た…というお話。兵士のPTSDとそれを受け入れようとする家族の物語です。

妻にしてみれば、夫がそこで何をしているかは知る由もない。そこで負った傷を、共に背負うことはできない。遠い国の戦争に家族が駆り出されるということはどういうことか…。

今の日本の状況を見ると決して人ごととは思えません。

 


太陽の帝国

太陽の帝国(初回生産限定) [DVD]

スピルバーグ監督作の中ではいまいち評価の低い(ような気がする)作品。戦争に翻弄されたある少年の成長譚…と簡単に言えばそんなお話。なんだけど、どこかあわあわとした幻のような、非現実感が作品全体に漂っているんですよね(そのせいか主題や主張が曖昧で、こちらに伝わってこないのがおそらく不人気の理由かと…)。

ただ、個々のエピソードには印象深い絵面が多く(主人公ジェイミーが零戦乗りの日本兵に敬礼するシーンや、日本人少年兵の乗った零戦が撃ち落とされるシーンなど)、「租界」の世界観も見所。
ちなみに主人公の少年ジェイミーを演じているのはクリスチャン・ベール。そう、後のバットマンである…。

 

 

次点:第5惑星

minmin70.hatenablog.com

 

入れるかどうか迷ったけど、SF・架空の戦争は除外しようと思い、 結局ベストテンからは外した。
戦争がなぜはじまるか。その原因は経済的理由(領土開拓含む)、 宗教的対立、種族間憎悪…さまざまあるでしょうが、その根本にはおそらく互いの文化・言語への無理解があると思うのです。つまり裏を返せばそこを克服すれば世界平和も夢ではないということ。もしかしたら、この映画にそのヒントが隠されているかもしれない…いないかもしれない…。 

 

 

なんとなく今回は外したけど、ベストテンに入れてもよかったもの。

野火(2014) 

野火 [DVD]

野火 [DVD]

 

見応えはかなりあります。あり過ぎて観終わった後は、腹筋腕立て100回ずつしたんじゃないか、ってくらい疲れます。 

 

鬼が来た! 

鬼が来た! [DVD]

鬼が来た! [DVD]

 

「この香川照之がすごい!」って賞があったらベスト3内には入ると思う。終盤からラストにかけての絶望感半端ない。

 

 

というわけで以上です!


 

 

 

母は強し!?妊婦が選ぶ、妊婦が出てくる映画15選!

過去の記事にも何度か書きましたが、現在妊娠中のわたくし。

つわり真っ最中にゾンビ観られるくらいにはアクティブでございます。

minmin70.hatenablog.com

 

間も無く臨月に入るということで、今月からお仕事も産休をいただきました。二人目だし、 仕事もあるしで前回ほど妊婦生活を楽しめてないのが現状。何をしているわけでもないのにてんやんやしているんだよ…。

 

さて、そんなわけで?数多ある映画の中でも妊婦が出てくるものってたくさんあるよなぁ、と「妊婦が選ぶ妊婦映画!」いう記事を思いつきました。

 

注意!:決して「妊娠中に観るといい」とか、「妊婦におすすめ」というくくりではないので気をつけて!まぁ一発目が「ファーゴ」なので、趣旨はその辺りからご推察ください(笑)。

 

 

  

 

ファーゴ

ファーゴ (字幕版)

【あらすじ】雪深い冬のノース・ダコタ州ファーゴ。借金を抱えるジェリーは、ゴロツキに妻を偽装誘拐させ、富豪の義父から身代金を騙し取る計画を立てる。しかし、予想外のトラブルから連続殺人事件へと発展してしまう。事件の捜査にあたる妊婦の警察署長マージが見た衝撃の結末は…。

妊婦映画と聞いて真っ先に思いついたのがこれ。言わずと知れたコーエン兄弟の傑作。マージが妊婦であることが捜査上有利に働くor物語上何らかの意味をなす、という事はないのだけれど、彼女が妊娠中であることで、最後の最後にしんみりとした気持ちにさせてくれます。

 

【ニンプ的見所】ジャンクフードを頬張るフランシス・マクドーナンドの食べっぷり(カロリーを欲する気持ち、よくわかる)。でも飲み物は「ダイエット・コーク」を選ぶところがかわいい。

出産シーン   ナシ

働く妊婦度★★★★

 

 

ジュニア

ジュニア [DVD]

あらすじ】婦人科医のアレックスとラリーは流産の確率を減らす新薬を開発するが、その治験の許可がおりない。二人はそれならば、ととんでもない方法を思いつく。アレックスを妊娠させて、新薬を投与すれば良いのだ、と…!

 

妊婦ならぬ妊夫映画。昔(90年代前半)は、これとか、「キンダガートン・コップ」とか、「ツインズ」とか、シュワちゃんの映画がテレビで毎週のようにやっていた気がするんだけど、いつからかすっかりやらなくなったよね〜。

そもそも男というかシュワちゃんが妊娠するっていうのがもう意味不明過ぎで、「臍の緒は?羊水は?」とかいろいろトンデモすぎるんだけど、まぁその辺りを(鼻で)笑ってスルーできれば十分楽しめると思います。

 

【ニンプ的見所】腹ボテのシュワちゃんを観てるだけで楽しい。

出産シーン  アリ

筋肉妊婦度★★★★★ 

 

 

ハラがコレなんで

ハラがコレなんで [DVD]

【あらすじ】妊娠9ヶ月の光子はかつて暮らした長屋に引っ越してくる。楽天的で事あるごとに「粋」を口にする光子の周りには個性的な面々がそろい、光子はこの場所で出産しようと決意するが…。

 

仲里依紗が妊婦役。特に好きな女優さんではなかったのだけれど、この役はなかなかのはまり役でした。光子のセリフにある「わたしも迷惑をかけるから、あなたも迷惑かけていいよ」という精神性が好きです。インドでは「自分が他人に迷惑をかけることもあるのだから他人から迷惑をかけられても受け入れること」って、教え(?)があるらしくて、「他人に迷惑をかけずに生きろ!」っていう非寛容な日本の教えよりずっと大らかでいいなぁ、とわたしなんかは感じてしまうのですが。

 

【ニンプ的見所】仲里依紗の出産演技はなかなかいいです。妊娠中って「いろいろ思い悩む」こともあるけど、逆に「おおらかで楽観的になる」ところもあるような気がします。まぁ人によるか。

出産シーン  アリ

粋妊婦度★★★★

 

 

魔女の宅急便

魔女の宅急便 [DVD]

【あらすじ】魔女見習いの女の子キキは、魔女の修行のため、黒猫のジジと海辺の町キリコにやってきた。ほうきで飛ぶことしかできないキキは、その唯一の特技を活かし「宅急便」をはじめるが…。

 

ジブリの妊婦と言えばやはりおソノさん。快活で優しい、グーチョキパン店のおかみさん。戸田恵子さんの声もグッド。

f:id:minmin70:20161006102445j:image

「ついでに朝ごはんも付ける!」の時のこの表情が好き。

 

【ニンプ的見所】臨月でもあれだけ動き回って働くおソノさん、偉いなぁと思います。無口だけど妻への愛情と気遣いが滲み出ている旦那さんもいい。

出産シーン  ナシ(産気づいて旦那さん慌てる)

人情妊婦度★★★★★

 

 

玄牝

f:id:minmin70:20161111132348j:image

 【あらすじ】愛知県にある産婦人科、吉村医院。そこには吉村医師の「自然なお産」の考えに賛同した妊婦たちが続々と訪れる。彼女たちはさまざまな思いを胸に出産にのぞむ…。

 

自然分娩を推奨する医院を舞台にしたドキュメンタリー。監督は河瀬直美。いろいろ「うーん…」ってところもあるし、まぁ、わたしはこういう極端なのは好きではないんですがね…でも、よくできたドキュメンタリーだと思います。

 

【ニンプ的見所】出てくるお医者さんや妊婦さんの言動の全てに同意できないところもあるのですが、いろんな妊婦さんの姿を見ることで、「命を産み落とす」ことについて考えさせらます。出産シーンは泣けます。

出産シーン  アリ

人生いろいろ妊婦もいろいろ度★★★★

 

 

9ヶ月

f:id:minmin70:20161111125440j:image

【あらすじ】精神科医サミュエルはある日恋人レベッカから妊娠を告げられる。もともと子どもが好きではないサミュエルは不満と不安だらけ。一方のレベッカは出産に向けて意欲満々で…。

 

主演はヒュー・グラント。恋人から妊娠を告げられた男が右往左往しながら「父親」になる様子をユーモラスに描いています。ヒューは冴えない男が合ってるね〜。出産に至るスラップスティックス的なドタバタは爆笑と言うより苦笑。また、医師役のロビン・ウィリアムズがいい感じに胡散臭くて良い。ちなみに監督はクリス・コロンバスです。

 

【ニンプ的見所】子どもを胎内に宿す女性と違い、妊娠→出産に対する男性の困惑に関してはいろいろと学ぶところは多いかも。カップルで観ると面白いんじゃないかなー。

出産シーン  アリ

ドタバタ出産度★★★★★

 

 

ジュノ

JUNO/ジュノ (字幕版)

【あらすじ】幼馴染とのたった一度のセックスで妊娠してしまったジュノ。中絶も考えるが、友人の言葉で思いとどまり、出産して赤ん坊を養子に出そうと決めるが…。

 

興味本位で幼馴染とヤッたらできちゃった!という、絵に描いたような若気の至り感。それでも堂々と、あっけらかんとしているジュノにアッパレ。とにかくエレン・ペイジが絶頂にかわいい。もう最近ではすっかり大人になってしまいましたな…。

 

【ニンプ的見所】「望まない妊娠」を「望まれた出産」に変えるジュノのバイタリティ。それを受け入れる周りの大人たち(特にパパ)がいい。自分の子がこういう状況になっても、常に味方でいられる親でありたいものです。

出産シーン  アリ

ティーン妊婦度★★★★★

 

 

女神は二度微笑む

女神は二度微笑む [DVD]

【あらすじ】ロンドンから、出張先で突如連絡を絶った夫を探すために一人コルカタにやってきた妊婦のヴィディヤ。地元の警察官ラナの助けを借りながら身重の体で夫の行方を追うのだが…。

 

とにかく面白いのでまだ観ていない人にはとりあえず観て!とだけ言いたい。なのであまり詳しく書くのはやめます。あらすじの通り「美しい妊婦が夫を探す話」だと思ってください。

 

【ニンプ的見所】とにかくヒロイン演じるヴィディヤ・バランが美しすぎる!妊婦さんに限らず、インドの女性って身なりに気遣う人が多い印象。見習わねば…(←ノーメイクで電車乗ってる女の発言)。

出産シーン  ナシ

美しすぎる妊婦度★★★★★

 

 

トゥモロー・ワールド

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]

【あらすじ】原因は不明だが、出生率がゼロとなった近未来。将来を悲観した人類は荒廃し世界中でテロや内戦が頻発していた。かつて熱い活動家だった英国人テオは、今では信念を失いエネルギー省に勤めている。ある日彼は、不法移民たちのテロ組織のリーダーで、元妻のジュリアンから、移民の少女をある場所まで送り届けて欲しいと頼まれる。しかも、その少女は妊娠しているというのだ…。

 

【ニンプ的見所】生々しく迫真に迫る出産シーン。そして終盤に響き渡る赤ん坊の泣き声の神々しさ。

出産シーン  アリ

過酷な妊婦度★★★★

わたしの感想はこちら。

minmin70.hatenablog.com

 

 

ルナ・パパ 

ルナ・パパ [DVD]

【あらすじ】女優を夢見る17際のマムラカット。ある晩俳優を名乗る男の声に導かれ、誘われるまま体を許してしまう。しかし目覚めると男は姿を消していた。彼女のお腹に命を宿して…。顔も名前もわからぬその男を探すため、父と兄と旅に出たマムラカットは…。

 

見知らぬ相手との初体験で妊娠してしまった少女の運命は…⁉︎映画史に残る(?)奇想天外なエンディングが大好きです。エミール・クストリッツァが好きな人はきっと気に入ると思います。とにかく絵面が面白いので観ていて楽しいです。

 

【ニンプ的見所】 ナレーションをつとめるお腹の子の声がかわいい。あと、中絶を試みようとするマムラカットの「・・・!!」な衝(笑)撃展開に思わず笑っちゃう。

出産シーン  アリ

処女懐胎感妊婦度★★★★★

 

 

誘拐犯

誘拐犯 DTSスペシャル・エディション [DVD]

【あらすじ】金策に奔走する男二人。ある富豪の子どもを身ごもった代理母がいることを知り、その女を誘拐して富豪から身代金をせしめようとする。しかし思わぬ誤算が生じ、二人は窮地に立たされる…。

 

妊婦をジュリエット・ルイスが演じています。原題「the way of the gun」の通り、いろいろと凝った銃撃戦が見所です。とにかくベニチオ・デル・トロが格好良い!妊婦の子どもが実は…なところとか、ラストの奥さんのセリフの「おいおい!」感とか、アクション以外にお話も普通に面白いです。

 

【ニンプ的見所】産気づいたらもう産むしかないという覚悟が身につきます(嘘です)。

出産シーン  アリ

危険な目に遭いすぎ妊婦度★★★★★ 

 

 

第五惑星

第5惑星 [DVD]

【あらすじ】21世紀後半、地球平和を成し遂げた人類は、宇宙開拓に乗り出した。惑星を植民地化する中で、ドラコ星人、通称「ドラック」との戦争が勃発した。
兵士でパイロットのダヴィッジは戦闘中、誤って未開拓星に宇宙船ごと墜落してしまう。しかしそこには敵である「ドラック」の一人も不時着しており…。

 

これも一応妊婦映画になるのかな…(笑)。戦争を終結させるヒントが描かれている、かも?ただ、ラストの展開がすげー雑。途中まではすごく面白いんだけどね…。

 

【ニンプ的見所】動物であれ宇宙人であれ、出産シーンはやっぱり感動するよね。

出産シーン  アリ

キモカワ妊婦度★★★★

わたしの感想はこちら。

minmin70.hatenablog.com

 

 

ヴィンセントが教えてくれたこと

ヴィンセントが教えてくれたこと(字幕版)

【あらすじ】ヴィンセントは、妊婦のストリッパー・ダカと朝からよろしくやるような、素行不良な老人。口も悪く、近隣住民からは色眼鏡で見られている。ある日、隣にシングルマザーのマギーとその息子、小学生のオリバーが引っ越してきた。成り行きでヴィンセントは、仕事で帰りの遅いマギーに代わり、放課後のオリバーの面倒を見ることになるが…。

 

内容はビル・マーレイ礼賛映画、としか言いようがない。でも、マーレイ好きにはたまらない一作。

 

【ニンプ的見所】ナオミ・ワッツの腹ボテポールダンス!

出産シーン  ナシ

セクスィー妊婦度★★★★★

わたしの感想はこちら。

minmin70.hatenablog.com

 

 

 

ローズマリーの赤ちゃん

ローズマリーの赤ちゃん [DVD]

【あらすじ】いわくつきのアパートに引っ越してきた若い夫婦、ローズマリーとガイ。隣人のカスタベット夫妻のおせっかいに辟易していた矢先、「悪魔に犯される」という不気味な夢を見たローズマリー。その後、自身の妊娠が発覚し…。

 

マタニティーブルーの話?かと思いきや悪魔崇拝の話!というのが一般的な解釈のようなのですが、わたしはこの映画、やはり一周回ってマタニティーブルーの話だったと思うのです。子どもってね、悪魔なんですよ、実際(異論のありそうな発言ですみません)。つまり、異物・異質なものという意味でね。

というのも、胎児を宿すって、なかなかグロテスクなことだと思うんです。自分の中に別の個体が入ってるってことですから。それはもちろん神秘でもあるのだけれど、逆に裏を返せば不自然なことだとも言える(だから拒否反応として「つわり」って症状があるんだと思う)。

なぜ生物はその不自然な営みから抜け出せないのか?それを正当化するために「母性」と言う言葉があるのではないか?…そんな映画ではないのだけれど、なんかねーいろいろ考えちゃういます。まぁとにかく、ミア・ファローのベリーショートは一度は真似してみたい髪型の一つです。

悪魔×妊婦ものとしては、デビルズ・バースデイ [Blu-ray]というのもあります。

あ、ちなみにどちらも妊娠中に観るのはおすすめしません(笑)。

 

【ニンプ的見所】心の不安定さ、他者への疑心暗鬼、夫への不快感などなど、妊婦特有の精神不安が盛り込まれています。いやーニンプってタイヘーン!

出産シーン  (一応)アリ

不安な妊婦度★★★★★

 

 

そして、ひと粒のひかり

そして、ひと粒のひかり [DVD]

【あらすじ】17歳にして一家の家計を担っているマリア。しかしそんな彼女は、ふがいないボーイフレンドとの間に子どもができてしまう。困窮する生活のため、マリアは麻薬を飲み込んで運ぶ危険な仕事を引き受けることにするが…。


厳密に言うと妊婦映画には入ならいだろうと思うんだけど(これ入れちゃうと何でもこのくくりにはいっちゃうもんね…)、でも、主人公が妊娠していることが、物語の中で重要な要素となっている!という理由でチョイス。まぁただ単に好きな映画なんだけどね。

 

【ニンプ的見所 】妊娠しているか否かで分かれる明暗。そうか、X線て妊娠中できないもんね!というのがミソ。そしてラストの主人公の決断。わたしは一人ではない、という強さと希望を感じさせてくれます。

出産シーン  ナシ

運び屋妊婦度★★★★

 

 

 

…他にも妊婦映画はたくさんあると思うのですが、長くなってしまったので今回はこの辺で!

そんなわけで、しばらく映画館へ行くことは叶わなそうなので、新作映画の感想は書けそうにないですが、ブログは細々と続けていきたいと思います。DVDで観たやつとかワッシュさんの「戦争映画ベストテン」とか、書きたい記事もあるし。

 

今後は更新頻度も落ちるかもしれませんが、読者登録させていただいている方の記事には時々スター付けたりコメントしたりはしますので、「あーあの人、生きてるんだな」くらいに思ってくだされば幸いです(笑)。

ではでは〜。

 

 

 

 

この世界の片隅にーー「あなたたち」が生きていてくれて、よかった。★★★★(4.0)

f:id:minmin70:20161117123834j:image

  

 

あらすじ

広島に住むすずは絵を描くことが大好きな、少し空想癖のある女の子。年頃になったある日、呉の青年との縁談が持ち上がり、「好きか嫌いかもわからない」人のもとへお嫁に行くことになる。見知らぬ土地、見知らぬ人々に囲まれて、すずの新婚生活がはじまった。けれども戦争が激しさを増すと、配給物資は減り空襲は度重なる。それでもたくましく生活しようと奮闘するすずだったが…。

 

 

 

 

 

以前ユーロスペースで映画を観た時に予告が流れた時は「あれ、戦争映画なのに公開は夏じゃないのね」くらいしか思わなくて。その時はそこまで興味をそそられなかったんだけど、Twitterを賑わせているのも気になったし、原作も面白かった記憶があったし、今年のワッシュさんのベストテン企画が「戦争映画」ということもあったのでね、劇場まで足を運びました。

実はわたくし、現在妊娠中でして。おそらく映画館に行けるのは今年はこれが最後だろうと思います。結論から言うと、出産前にこの映画を映画館で観ておいてよかった、ということです。

 

今作はクラウドファウンディングで資金を集めたことや、主演をつとめた「能年玲奈改めのん」ちゃんのいろいろ(特にファンでもなんでもないわたしからしたら、かなりどうでもいい話)も注目を集めて、公開前から話題になっていましたね。

 

原作はこうの史代の同名漫画。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 

同じくこうのさんの、戦争と広島の原爆を題材にした漫画も田中麗奈主演で「夕凪の街、桜の国」は実写化されています。  

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

 
夕凪の街 桜の国 [DVD]

夕凪の街 桜の国 [DVD]

 

 

わたしはどちらの漫画も読んだのですが、今作はそのほんわかした原作の色そのままにアニメ化されていて、観ていてとても楽しかったです(実写版「夕凪〜」はその辺りがあまり成功していたとは言えなかったと思う)。

ですが、全3巻とはいえ、映画化にあたり端折った箇所も多く、駆け足すぎる&説明不足な部分もあり、原作既読者からすると「ん?」と思うところもありました。けれど概ね破綻なくまとまっていたと思います。

何より、すずが空襲を見上げるシーンや、後半彼女を襲う悲劇などの、映像化ならではの演出が本当に見事でした。

 

この映画はいわゆる「戦争(反戦)映画」とは少し違います。空襲や原爆、配給の描き方のほか、本来なら悪役認定されそうな「憲兵さん」の扱いなどを見ても、従来の「戦争」を描いてきた映画とはまた違うアプローチをしていると感じます。

この映画の主役は、戦争で戦った兵士や英雄ではない。名もなき市井の人々とその生活の営み、そして変わらぬ自然の移ろいです。日本の原風景とも呼ばれるものがそこにはあります。

観終わった後に感じるものは人それぞれだと思いますが、何も思わない人はいないはずです。

 

それから、わたしは平日の朝イチの回で観たのですが、驚いたことに最前列を除いてほぼ満席でして。そして、観賞後には観客との間に、無言の一体感みたいなものを感じました。

なかなかこういう感覚を味わえる映画ってそうそうないと思います。そういう意味でも、これは映画館で観るべき映画なのではないかと。

 

 

 

以下少しネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

キャラクターが魅力的!すずのあちゃー(>_<)顔が最高にかわいい。

とにかくね、キャラクターがみんなかわいいです。まるっこくてちんまりした目鼻、ふにゃっとした柔らかい体のライン、短めの頭身。写実的とは程遠い、とてもまんが的なキャラ絵なんだけど、これが不思議なことに生き生きして見えるんですよ。

特に好きなのは「いやー」とか、「ありゃー」とか言う時のすずの顔ね。くにゃっと首を傾げる仕草とか本当にかわいい。 

すずの声を演じたのんちゃんは、喋るたびに顔が浮かんでしまうんですね。そのうち完全にすずがのんちゃんに見えてくる(笑)。それってアニメの声優としてどうなのって問題はあるのですが、でも不自然じゃない。実際あちゃーってやりながら声入れてる様子が目に浮かびます。舌足らずな口調が方言の柔らかみをより際立たせていて、本職の声優さんにはない味がありました。

他のキャラクターや声優さんたちもみんな魅力的で。ちょっと無愛想で寡黙な夫の周作さん、にこやかで明るい妹のすみちゃん、キツさの中にも優しさのある義姉の径子さん、かわいすぎる姪っ子の晴美ちゃん…みんなみんな、とても、愛おしいのです。だからこそ、だからこそ彼らが悲しい目に合うと、こちらもとても悲しくなります。

それでも、どんなに辛くても「歯をくいしばる」とは真逆に、ゆるゆると乗り越えようとするすずの、「柔らかな強さ」が最後まで救いであり希望です。でも、それが市井の人々の本当のたくましさなんだよなぁ。

 

 

踊るような奏でるような素敵な料理シーン!

わたし、基本的にアニメの料理シーンって好きなんですけど(アニメならではの過剰と省略の長所がよく表れるシーンだと思うので)、今作の料理シーンは本当に素晴らしかった。

すずがまるで楽器を奏でるように軽やかに、ダンスを踊るようにリズミカルに料理をするんですね。

f:id:minmin70:20161117154433j:image

まるでバイオリンを弾いているみたい。ちゃらら〜んて音が聞こえてきそう。 

すごく楽しそうで、美しい。食材が食材だけに、できあがった料理を「おいしそう〜!」とは思えないんだけど(笑)、それでも少ない配給に野草を加えて工夫して、素直にすごいなと。でもそんな涙ぐましい努力を、決して苦労とは感じさせない。「こうやって戦っている」と言うセリフもありましたが、食卓から戦争をしている、という視点がやはり女性らしい目線なのかなと思います。

この料理シーンだけでも、わたしにとっては観る価値がありました。

 

 

タンポポの綿毛のように

主人公のすずは終始ぼんやりとしていて、結婚する人の名字も住所もわかってないような天然ボケな子なんですね。どこかふわふわとしていてとらえどころがない。それは風まかせにどこへでも飛んでいくタンポポの綿毛のようです。

今作ではタンポポが何度も象徴的に登場します。タイトルバックでは黄色と白のタンポポの咲く土手の青空に、タンポポの綿毛が舞っています。風に吹かれて流されて飛ばされて。その様子は意思を持たず言われるがまま呉に嫁いだすずの姿と重なります。

周作さんとすずは畑で黄色いタンポポを見つけます。「黄色は珍しい」と手折ろうとする周作さんをたしなめるすず。「広島から来たかもしれないし」と。彼女はそのタンポポに自分を重ねたんですね。 綿毛はどんなに遠くに飛ばされても、種はいつか地面に根を下ろす。同じようにすずも、紆余曲折あっても最終的に呉で周作さんのそばで生きようと決めます。

この映画は、時代という風、戦争という風に流されて飛ばされてきた一人の少女が、一人の女性として成長し、ある場所に根付いて生きて行く、そんなお話だったと言えます。

「ありがとう、この世界の片隅にうちを見つけてくれて」というすずのセリフには、ただの綿毛だったタンポポが根を下ろし、花開かせたかのような輝きがありました。

 

ちなみに、原作ではかなり重要だった遊女のリンさんのエピソードが、映画ではほぼばっさり切り捨てられています。原作ファンの方は恐らく不満だとは思いますが…(それにより、水原くんとのやり取りや、すずが広島に帰ると言い出すことの意味合いが原作とは若干変わって見える)。でも、リンさんのわだかまりがなくなったことで、周作さんとの関係がすっきりとまとまっていたのでわたしはこの改変はアリだったと思いますね。

だから、汽車での二人の夫婦喧嘩も、とても愛らしく感じられます。お互い好き好き!言ってるだけにしか見えないって言うね(笑)。

 

 

「戦争」という拠り所

ずっとほんわかと笑っていたすずが激昂し号泣するのは、玉音放送で戦争に負けたと知らされた時です。「そんなこと(戦局が厳しいということ)わかっとったはずやろうに、まだここに5人もおるのに、まだ左手も両足も残っとるのに!」
戦争が終わってよかったと思う人、死んでいった人を悼む人、すずのように憤る人、当時あの知らせを受けて感じたことは人それぞれだったろうと思います。でも、すずちゃんのようにほんわかとしたあまり感情を表に出さない(というか意思をもっていない)人があんな風に取り乱すことに、少なからず衝撃を受けました。それはおそらく逆説的に、戦争がある意味、すずの拠り所でもあったということなのでしょう。戦争があったから食料が少なくても笑っていられた、戦争があったから大事な右手を失っても生きてこられた。戦争があったから…。皮肉なことに、実はすずは、「戦争」に支えられていたのかもしれないのです。

 

 

あなたたちが生きていてくれたから

戦争で失われた命はあまりに膨大で、わたしたちはその悲劇の方に目を向けがちですが、今を生きるわたしたちに命を与えてくれたのは、その悲劇を生き延びたすずちゃんや周作さんのような人々のおかげなのです。

戦争を生き延び、生き抜き、生き残った人々がいて、わたしは、この人たちと同じ地続きの日々を生きている。8月6日があり、9日の後も10日はやって来て、8月15日が終わっても、日常は続いていく。

 

わたしが中学生の時に亡くなった父方の祖母は、がっつり戦時中を生きていた人でした。思ったことははっきり言うし、かなりキツい人だった。今作のすずの義姉径子さんを見ていて「なんかおばあちゃんに似てるなー」と思ったんですよね。あんな風にたくましくないと女の人は生きていけない時代だったのかもしれない。そんなおばあちゃんは戦争のことはあまり話したがらなかった。

でもある時、「いい人はみんな戦争で死んだ。生き残ったのはろくでもない奴らばっかりだ」みたいなことを言ったんです。なんでそんな話になったのか前後を全く覚えていないんだけど、その一言はかなり衝撃的で。そこには「自分もそのろくでもない人間の一人だ」と言ったニュアンスが含まれていたように思えたんですね。

もしかしたらこういう気持ちって、あの時代を生きてきた人はみんな共通して持っているものなのかもしれない。「生き残ってしまった、死に損なってしまった」という負い目のようなもの…。

わたしがこの映画を観終わってまず思ったことは、「戦争はいけない」とか「この悲劇を繰り返さない」なんてことではなくて、ただ、とにかく「この人たちが生きていてくれてよかった」ということだったんですね。死なないでいてくれて本当によかった、と。

「何も知らない少女のまま死にたかった」と慟哭したすず。ただただ娘を思って泣くしかない径子さん。集会所の前の死体が自分の子だと気づかなかった、と吐露するお母さん。母親を原爆で失った孤児の女の子。

多くのものを失ったけれど、それでも生きていてくれたあなたたちのおかげで、わたしは確かに生きているのです。

わたしは、おばあちゃんに「ありがとう」って言いたい。生きていてくれて、お父さんを生んでくれてありがとうって。あなたがくれた命を、わたしは確かに生きています。そしてそれは、わたしの子どもにも受け継がれているのです。

 

 

そんなわけで、他にもいろいろ書きたいことはたくさんあるのですが、とーっても長くなってしまったので、おしまいにします!

あともう一回くらい観たいけど、難しいかな〜…。

 

 

この戦争映画もおすすめです。

紙屋悦子の青春 [DVD]

紙屋悦子の青春 [DVD]

 

 


 

 

 

ハロルドが笑うその日までーースウェーデンとノルウェーのスタンスがわかって面白い★★★(3.0)

f:id:minmin70:20161104123700j:image

 

あらすじ

ノルウェーのオサネで長年質にこだわった家具店を営んできたハロルド。しかし、隣に世界的家具チェーン「IKEA」の北欧最大店舗ができたことで、廃業に追い込まれてしまう。認知症を患っていた妻も喪い、全てをIKEAに奪われたと感じるハロルドは、創業者カンプラードを誘拐し、復讐を果たそうと決意。オンボロなサーブ車でスウェーデンへと向かうハロルドだったが…。

 

 

 

 

 

 

「小さな家具店主(おじいちゃん)がイケア創業者(おじいちゃん)を誘拐!」って言うだけでなんだかほのぼのとしていて面白そうじゃないですか。

で、観てみたら、これが意外と社会派(?)でね、興味深く観賞しました。というのも、ノルウェーにおけるスウェーデンへのスタンスがよくわかって、なるほどなぁ、と思ったのです。

 f:id:minmin70:20161115133746j:image

スウェーデン人はミートボールがお好き。ちなみにこのカンプラード役の人、実物の本人ともよく似ています。

 

日本にいると、ぶっちゃけあまりに遠すぎて北欧の国々の違いって、あんまりわからないじゃないですか(笑)。フィンランドムーミンカウリスマキスウェーデンボルボとイケア?ノルウェーはサーモンと森?アイスランドビョーク地熱発電デンマークは…えーと、なんだ?…みたいな。

でも実は各国の立ち位置というか、それぞれの国民の思いみたいなものはほとんど知らない日本人も多いんじゃないかと思います。

 

スウェーデンって、意外と他の北欧の国からはよく思われていないらしいんですって。侵略などの歴史的背景、国民性や言語の違いなどなどにより、他の地域の国々と変わらないやり取りが北欧諸国でも繰り広げられているようです。

気になる方はGoogle先生で「ノルウェー  スウェーデン  仲悪い」で検索!!

特にアイスホッケーの対スウェーデン戦では白熱する国が多いのだとか…。どこぞの国でもそんなこと、ありますよねー。

 

さてはて、今作は「ノルウェーから見たスウェーデン」をIKEAいう緩衝材をうまく噛ませて揶揄しているところがあります。

おそらくIKEAスウェーデンの超大手企業ですから、スウェーデン国内ではここまでネタにはできないだろうと思います。お隣のノルウェーだから実名出して皮肉ったりできるんでしょうね。そしてそれをおおらかに受け入れるスウェーデン側。なんだかんだで、結構仲良しなのかも?

 

また、この映画は二人のおじいちゃんがイチャイチャする映画としても楽しめます。

f:id:minmin70:20161114100902j:image

こんなのとか、

f:id:minmin70:20161114100909j:image

こんなサービスシーン(笑)まであり!!

 

「誘拐」なんてきな臭さは添え物で、北欧の凍った湖や雪深い森などの美しくも悲しげな景色、おじいちゃんを堪能する映画だと思います。それらに興味のある方は是非〜。

f:id:minmin70:20161114214526j:image

こういう寒々しい景色が続くよ。

 

キッチン・ストーリー [DVD]

キッチン・ストーリー [DVD]

 

こちらもノルウェー×スウェーデンのもやもやを描いています。こんなゆるーい感じが好きな人はきっと気にいるかと〜。

 

 

 

以下ネタバレあり!

 

 

 

 

 

 

 

 

IKEAって、嫌われてるの?

我が家にもIKEAの家具がたくさんあります。机、本棚、子供用クローゼットやおもちゃ、椅子にファブリック諸々。以前は車でよく出かけてましたね。何も買わなくても、フードコートでご飯食べるだけでも楽しいし。

劇中で創業者役の人に「すぐに壊れる」なんて言わせてましたけど、まぁ確かにO塚家具などの一流品よりは安いし粗悪なのかもしれないですね。でも、日本ではどちらかというと値段の割にはしっかりしていてオシャレで素敵といったイメージだったので、今作での描かれ方は新鮮でしたね。

大手スーパーを小さな商店が憎々しく思っているのと同じで、個人家具店の人たちだってIKEAやニ◯リを苦々しく思っていても不思議ではないんだよなぁ…。

f:id:minmin70:20161115130848j:image

テレビに映る創業者に思わず悪態を吐くハロルドの奥さん。「スウェーデン」企業というだけで、なんとなく反感を持っているという感もあり…。

また、IKEAと同様「粗悪で壊れやすい」とハロルドに言われるのがSAAB社の車。あまり日本では見かけないですが、ボルボに次ぐスウェーデンの有名な車メーカーです(2012年に破産申請がされるなど、なかなか厳しい状況らしいのですが…世界中に根強いファンがいるよう)。

スウェーデンIKEAやこのSAAB、ボルボH&Mなどの国際的な大企業を生み出しているけれど、そもそもノルウェー人にはそれ自体か面白くないんだね、多分。「お高くとまりやがって!どうせこっちのこと田舎扱いしてるんだろ!」みたいな(笑)。ハロルドの言動やエヴァとのやり取りの中からそんなノルウェー側の被害者意識(?)が見え隠れしていたように感じました。

 

 

何するかわからないからおじいちゃんって面白いよね(笑)。

隣にIKEAができてしまったことで廃業に追い込まれ、住む家も失ってしまったハロルド。しかも、老人ホーム入居当日に妻まで還らぬ人となってしまう…。

f:id:minmin70:20161115131635j:image

自暴自棄になり自分の家具店に火をつけ焼身自殺を図るも、スプリンクラーが作動して助かっちゃうハロルド。しかし、心の中ではメラメラとIKEAへの復讐心がバーニング!

 

離れて暮らす息子(アル中気味) に「IKEAに復讐してやる!」と言っても、笑われるだけ。

f:id:minmin70:20161115132543j:image

失業中の息子。地下室に射撃場を作ったりして、奥さんからは愛想を尽かされている。

 

誰からも相手にされないかと思いきや、なぜか道すがら出会った少女エヴァに気に入られ、誘拐の手助けをしてもらうことに。

f:id:minmin70:20161115133101j:image

 

偶然に偶然が重なり、本当にIKEA創業者を誘拐できてしまったハロルド!えっ逆にどうしよう⁇しかもコイツ、誘拐されてんのに強気だし〜!

f:id:minmin70:20161115133709j:image

 

けれど、創業者の抱える問題(ナチ疑惑、後継者である息子との軋轢…etc)を知るにつれ、距離が縮まるハロルドとカンプラードのおじいちゃん二人。

f:id:minmin70:20161115134622j:image

このシーン、すごく好き。

 

結局エヴァはネグレクト気味の母親と折り合いをつけて家に帰り、ハロルドはカンプラードを解放して自身は息子のアパートへ。なんとなくまるく収まったムードで映画は終わってました。

 

 

老後の余生をどう過ごす?

この映画、実際のところ老人の居場所探しの物語だったんだろうと思うんですよ。職を失い、配偶者に先立たれ、頼みの子供はあてにならない。社会を恨んでも結局何も変わらないから、今の自分の身の丈で生きていこう…っていう。

老老介護なんかもかなりサラっと描いてますけど、福祉先進国の北欧でも、この辺りはきっと大きな社会的問題なんだろうなぁと思います。

老いは誰の身にも降りかかることです。それをどんな心持ちで向き合い、受け入れるか…。そんなふうに思うと、派手ではないけどじんわりとしみるいい映画だったのかなぁと思いましたよ〜。

 

 

 

 

マジカル・ガールーー少女は、呪詛の言葉で男を動かす。★★★☆(3.4)

マジカル・ガール(字幕版)

 

 

あらすじ

失業中の元教師ルイスは、12歳の娘アリシア白血病で幼いながらに余命幾ばくもないことを知り愕然とする。死を前にした娘の願いを全て叶えてやりたいルイスは、アリシアが「魔法少女ユキコ」の一点物の高額なコスチュームを欲しがっていることを知って、何とかお金を工面しようと決意する。そんな矢先、ひょんな事から精神的に不安定な人妻バルバラと出会い、一夜を共にする。ルイスは「夫に関係をばらす」とバルバラを強請り、大金をせしめようと画策するが…。

 

 

 

本当は公開中に観に行きたかったんですが、いかんせん都内といえど交通網が不便なところに住んでいるもので、よほどでないとミニシアター系には足を運べないのです。今作も公開当時評判がよかったので、レンタルが始まるのを楽しみにしていました!

 

感想は…かな~り、嫌~な映画でしたよ…。 

なんていうのかな、「人を不快にさせるツボ」をピンポイントで押してくるというか。とにかく、撮り方が巧いんですよ。あえて見せない映さない…と油断させておいていきなりどーんと来る。

 

監督は今作で長編デビューのスペインの新鋭カルロス・べルムト。日本の文化やアニメが好きらしく、今作も「魔法少女まどか・マギカ」からインスパイアされ作られたとのこと。「願い事を叶えるために代償を払う」という理不尽感や、暗く重い後味の悪さは通じるものがあるかも。

少女アリシアが日本の魔法少女アニメが好きで(テーマ曲が長山洋子のアイドル時代の歌…)、友だち間で日本語のあだ名を付けあっていると言うのが微笑ましかったです。

他にも人妻バルバラが飲んでいたお酒のラベルが「sailor moon」だったり、折り鶴柄の銘仙(?  だと思う)を羽織っていたり、日本要素の取り入れ方が自然で嫌味がないのも好印象。

 

「始まりが善意であっても、手段が悪意なら結果は悲劇にしかならない」という話なのかな。誰かがボタンを正しくかけ直していれば。もしくはどこかで掛け間違ったことに気が付いていれば…。なかなか辛辣で皮肉に溢れた秀作です。

 「マジカル・ガール」☆彡なんてキラキラしたタイトルに騙されちゃだめよ。

 

 

 

 

以下ネタバレ。 

 

 

 

 

 

 

漂う魔術感。それは呪いか、福音か…。

この映画、端的に言ってしまうとファム・ファタールモノなんですよね。女に運命を狂わされる男、的な。ただ、それが今作の場合は「いたいけな女の子」なんです。

父親ルイスにとっての娘アリシアであり、ダニエルにとっては幼い頃のバルバラである、と。そこに意図や思惑のあるなしは関係なく、そこに、たまたま女の子の願い事を叶えようとする男がいただけ。そして、その願いの代償を払わされることになるのも女の子なのだ。

 

「言霊」なんて考え方がありますけど、本来、「ことば」そのものそれ自体が大きな力を持つわけではない。それを発するものと受け取る側の関係性こそ重要なのだろうと思うのです。

この映画は、そんな言葉の力が暴走してしまうお話だとわたしは感じました。

 

少女アリシアは「お願いごとノート」に魔法少女のコスチュームが欲しいと書いたけれど、彼女はそれが高額なことも知らない(知っていたかもしれないけど、その価値は多分わかっていない…お金のことなんて普通の子どもは大抵頓着しない)し、まして父親に読まれるとも考えていなかったはず。

でも実はこの願望、コスチューム云々は大して重要ではなく、その後の「13歳になりたい」というアリシアの本音の言葉が書かれてあってこそ成立する「呪文」だったのかなぁ、と。父親は多分「コスチュームが欲しい」だけではきっと動かなかっただろうと思うんですよね。

f:id:minmin70:20161111113154j:image

でも本当の願い(=ラジオ)は聞いてもらえなかったというのがなんとも皮肉です。

そしてもう一つ重要なのが、「娘と父親」という関係性。これが息子と父親だったり、娘(息子)と母親であったのならば、この映画は成立しない。言葉の力と互いの関係性の相乗効果が思わぬ悲劇を生む。

 

そしてこの親子以外にもうひと組、言葉の力を誤って使ってしまった女と受け取ってしまった男、バルバラとダニエルがいる。二人がどんな過去を共有しているのか、はっきりとわかる描写はない。 けれども、バルバラがダニエルを「守護天使」と呼でいることから二人が何らかの共犯関係にあるのでは、と推察できます。

二人が実は冒頭に出てくる教師と女子生徒だとわかるのは映画の後半になってからなので、あの序盤のエピソードがこの映画の「注:イメージ映像です」なのかと思っていたのでちょっと面食らった…。

f:id:minmin70:20161110155957j:image

ぼんやりスルーして観ていたら、実は結構重要なシーンだったのでした。 

 

この二人のやりとりに出て来た「悪口を書いたメモ」やアリシアの「願いごとノート」もそうなんだけど、この映画に出てくる小道具の数々がどうも魔術的な側面を持って繰り出されている気がしてならない。

父親ルイスが古書店の前で拾うジグソーパズルのピース→実はダニエルのもので最後の1ピースだった=そのピースの喪失がある意味ダニエルを凶行に走らせたのでは?

鏡によるバルバラの額の傷=魔力の放出、もしくは第三の目の出現を暗示?

バルバラが大金を稼ぐ部屋のキーワード(呪文)が「ブリキ」→ブリキ(人間)は表面(皮膚)を傷つけると中の鉄の腐食が一気に進む(血が噴き出す)、と言うことか…?

トカゲ部屋には呪文がない=魔法を封じられた魔女の「審判の場」?

…などなど、とにかくいろいろ、深読みすることができそうです。それにしても、ただの白紙のカードにぞっとしたのは初めてでしたよ。

それから、バルバラが夫の友人夫婦の赤ん坊を抱っこし「窓から落としたらどんな顔するかと思って」と一人で大ウケするのも、なんだか呪いみたいで恐ろしかった…。それはバルバラが病んでいることの証明でもあるのだけれど、彼女の中にある魔女的な邪悪さを見せられたような気がしました。

 

 

見せる、見せない

前述しましたが、この映画が絶妙なのは見せる演出と見せない演出が実に巧みであるところ。

それは視覚的にもそうですが、バルバラとダニエルの過去、バルバラと売春の元締めの女との関係、またアリシアの母親についてなど、割と重要じゃない?と思えるような事柄について、説明されることは一切ないのです。

観客はそれらを想像しながら観ることになるのですが、なんでもかんでも言及してくれる親切な映画に観慣れている人はもしかしたら難解に感じてしまうところもあるかもしれません。ですが映画好きな人はおそらく、この「見せない」にぞくぞくしちゃうと思います。

 

だからこそ、この「見せない」が破られて、「見せられた」時の衝撃は本当驚きでなんですね。

例えば、おもむろにバルバラが服を脱ぐと、体中には無数の傷があり…。

f:id:minmin70:20161111101123j:image

裸体に銘仙、本来なら色っぽい格好のはずなのに…黒衣の魔女のようでもありますね。

 

このワンシーンで、彼女がこれまで何をしてきたのか、そしてこれから何が行われようとしているのかが一遍にわかる。そしてその禍々しさに背筋が凍る。

 

また、「トカゲ部屋」から出てきたバルバラの姿は一切映さない(血のついた袖ぐりはちらっと映る)けれど、病院のシーンで治療後の彼女が包帯ぐるぐる巻きになっているのを映すことで、観客が「妄想する余地」を見事に残しているんですよね。勝手にすんごい拷問を思いついて、一人で痛がったりすることもできるという(笑)。

終盤ダニエルが発砲する時しっかりとルイスを映していたのもちょっとびくっとしました。

 

 

呪文を失った魔女と代償を払わされる魔法少女

ルイスは大金を手にし(もちろんバルバラがどんな手を使って稼いだのかは知る由もない)、アリシアへコスチューム一式をプレゼントすることができました。

重傷を負ったバルバラは、ダニエルと再会し「ある男(=ルイス)にやられた」と嘘(あながち嘘でもないが)をつきます。ダニエルは地道にコツコツ作り上げてきたパズルを壊し、銃を手にルイスの元を訪れるのです。

ダニエルはルイスからことの顛末(もとはバルバラの不貞が原因)を聞くもルイスを射殺。浮気の証拠である携帯電話を奪うためルイス宅を訪れたダニエルが見たものは…。

f:id:minmin70:20161111104900j:image

一人の魔法少女だった!

強い目力で、ダニエルと対峙するアリシア。その目には怖れも後悔もない。その目を見据えたまま、引き金を引くダニエル。その時彼の心に去来していたものは一体…。

ダニエルは、バルバラに全て終わったことを告げる。けれど証拠の携帯を彼女に渡すことはせず、かつて彼女にされたのと同じ方法で携帯電話を消してしまう。ここに二人の共犯関係の終わりを見るべきか、役割の逆転として男側の復讐を見るべきか?

どちらにせよ、もうバルバラが呪文を使うことー言葉の力を使って誰かを傷つけることも、傷つけられることも、もうないだろうと思うのです。

誰かの願いが叶う時、誰かがその代償を払っているのかもしれない。そんな円環に人は組み込まれていて、その中心には悪意を持った魔女がいるのかも…。けれどもわたしとしては、魔法=magicは善的な願いを叶えるものとして存在して欲しいなと思うのですけどね。

  

 

とまぁいろいろ書きましたが、やはり、最後に何の罪もないアリシアちゃんが殺されたのは「ひどい!ひどすぎる!」としか思えなかった(着替えてパパを驚かせようと待っていたアリシアの気持ちを思うと泣けてくる…)ので、映画としては面白く観れましたが、好みで言うと「あんまり好きじゃない…」って感じかなぁ〜。

でもこれが初長編監督作と言うのは本当に驚き。カルロス氏、次回作も期待しちゃいます!

 

同じ日本通の監督の作品ならわたしはこっちの方が好きです。

minmin70.hatenablog.com

 

 

ヒメアノ〜ルーーもしもあの日に戻れたら。★★★☆(3.8)

f:id:minmin70:20161107144414j:image

 

 

あらすじ

夢もなくこれと言った趣味もなく、ただ漫然と日々を過ごしていることに一抹の不安を感じている岡田(濱田岳)。アルバイト先の先輩安藤(ムロツヨシ)から思い人であるカフェ店員ユカ(佐津川愛美)との仲を取り持つように請われた岡田は、そのカフェで高校時代の同級生、森田(森田剛)と再会し…。

 

 

 

とにかく森田剛がすごい!と公開中も評判がよかったので気になっており、先日のTUTAYAさんの「ビデオの日」を利用して100円レンタルしてきました。

「どーせ最近流行りのエグめ邦画の系譜でしょ〜」なんて若干ナメ気味だったんですよ。それに森田剛と言えどやっぱジャニーズだしさ、なんだかんだ言ってもアイドルなわけだし…なーんて思って観ていたらね、いやいや、これが本当にそんな生ぬるいもんでなかったから驚きですよ。

 

確かにエグめ邦画であるのは間違いないし、グロやエロを盛り込んで観客の度肝を抜かそうとする気概は感じられます。でも、それだけじゃぁない。

今作のエログロは、ただ観客を興奮させたり不愉快にさせようとする類のものではなくて(いやそういう系ももちろん嫌いではないのですが)、それらのシーン一つ一つにきちんと作り手側の意図が込められているように感じるのです。

 

原作は古谷実の同名漫画です。全6巻の内容を脚色し、かつ99分におさめたところをみると、おそらく脚本は相当練られたものだと思います。わたしは未読の状態で観賞しました。

 

とにかく、観て!と言いたいところなのですが、凄惨なシーンや女性にとっては観ていて辛いシーンが多いので(R15です) 、「冷たい熱帯魚」程度なら鼻ほじりながら観られるわたしでも、最後まで見通すのはなかなかしんどかったです。暴力映画に耐性のない方にはおすすめできないかな…。

あと、こういう映画にありがちな、無能な警察とか不注意すぎる被害者とかにイラっとモヤっとささられるところもあります。

でも、昨今のただの暴力映画とは一線を画している作品であると断言できます。特に、この映画の真骨頂は終盤に凝縮されていますので、途中で「うげっ!」と思ってもラストシーンまで見届けて欲しいと思います。

特に、思春期に苦い経験をしたことのある人なら、きっと心に刺さる映画となるはずです。わたしがそうだったので。

 

 

 

 

 

以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

確かに森田剛はすごかった!ユカちゃんはビッチと言うより「させ子」だと思う。

評判に違わず、森田剛の森田くんはすごかったです。その異常性は他の俳優さんにはないものを感じましたね。何もしていなくてもすでにヤバイ奴オーラ出まくりです。煙草を注意された時の件や「そんなこと言ってないよ」と2秒後にしれっと嘘をつくところなんかの得体の知れなさ。タイトルカットでユカちゃんの部屋をぼんやりと口開け気味で見上げる森田くんの佇まいなんて、覆面のチェーンソー殺人鬼なんかよりよっぽど怖かったよ。

f:id:minmin70:20161107204611j:image

 

森田くんの持っているものは、言うなれば静の狂気なんですね。ヒャッハー系の暴力ではなく、ご飯を食べるとか歯を磨くとかそういうものと変わらない暴力。もちろんそこには凶暴性が内包されているのだけれど、チンピラに絡まれたらあっさりやられてしまうチグハグさが妙に人間臭い。

V6が絶頂の頃、森田剛が一番好き!って言ってる友達がいて、「ちょっと子どもじみてて動物っぽいところが魅力的」と言っていたのを思い出しました。ヤンチャでワルっぽいんだけど、どこか愛らしい。そういう意味でも今作の森田くん役のキャスティングは絶妙だったのかなと思います。

 

キャストの話で言えば、「天使ちゃん」ユカ役の佐津川愛美ちゃん。裸体を惜しげもなく晒していて、女のわたしでもドキリとすること然り。スタイルがいいとか超美女ではないからこそ醸し出されるエロスがなんとも生々しかった。

佐津川愛美ちゃんはドラマ「最後から二番目の恋」で初めて拝見し、中井貴一を翻弄するぶりっ子女子を演じていて、そのイメージだったのですが、今作でもその嫌味のないぶりっ子感がよく出ていましたね。ぷくっとほっぺを膨らませる表情とか、非常にかわいい。

f:id:minmin70:20161107145547j:image

男の子が好きそうなこのアングル。

多分だけど、ユカちゃんって経験人数はそれなりにあっても、男慣れはしていないんだよね。正直に「10人くらい」って言っちゃうところや、バイブレーションを「元彼と使った」なんてポロっと言ってしまう素直さがなんともね。男慣れしている女の子だとあの場面で「2、3人くらい?」とか「こんなの見るの初めて!」なんて演技は自然とすると思うんですけど、そうしないところを見ると、逆にあぁ純粋に岡田くんを好きなんだろうなぁ〜なんて思えて可愛らしかった。きっと今までちゃんと付き合った男は経験人数の半分もいなくて、言い寄られたら断れない子なのかもな、とか勝手に想像してしまう(笑)。いや、もしかしたらただ単に童貞キラーなだけか…?ってわたしはなんの話をしてるんだ?

そんなユカちゃんみたいな子って、同性の友達少ないんだよね。だからこそのアイちゃん(笑)。演じていたのは女芸人さんらしいのですが、彼女も相当いいキャラしてましたね〜。ああいうキャラすごく好きです。近くにいたら絶対ウザいけど。

 

そして変人ムロツヨシとナチュラルに童貞感溢れる濱田岳(私生活では奥さんと子どものいるパパってのがすごいギャップ)の安定感。

f:id:minmin70:20161107145644j:image

「僕は、恋をしている」

 

彼らのやりとりに爆笑した次のシーンでは森田くんが据わった目で人を殺していて、感情の持って行きどころが目まぐるしく変わる。観ているこちらは混乱しまくりです。不穏な森田くんパートとゆるいムロツヨシパートが収斂していく脚本と演出の妙に、ただただ呆然としっぱなしでした。 

そうして、最後の最後にしてついにわかる、森田くんの過去に、わたしはむせび泣いてしまったのでした。

 

 

忘れたいこと、忘れていたかったこと、ずっと忘れたと思っていたこと。

森田くんがどんな人間なのか、なぜ彼が凶暴性を持つようになったのかは中盤にわぐっちゃんという友人から語られるし、森田くん自身の回想で描かれていることもあり、彼の狂気の原因が、高校時代の凄惨ないじめによるものだとわかる。
そして、徐々に森田くんの照準が岡田くんに合わされる頃になって、岡田くんの目線でそのいじめについて語られるのですが、それは岡田くんにとっても、つらく苦々しい過去だった。

以前は仲の良かった森田くんがいじめられはじめ、岡田くんはそれを止めるどころか見て見ぬ振りで一緒に笑ったりしてしまったこと。それに対して岡田くんは罪悪感や後ろめたさを感じていたこと。でも、多分きっと岡田くんは森田くんと再会するまでそのことを忘れていたのだろうと思うのです。忘れた、つもりでいた。 

劇中で森田くんが経験したようないじめを、わたしはこれまで実際目にしたことも、身近で聞いたこともないのでどうしても非リアルに感じてしまうのですが、それでもいじめそのものの陰湿さや居心地の悪さを知らないわけではなく、程度は違えど、わたしはかつて、きっとおそらく森田くんであり岡田くんだったと思うのです。そしてそれは多分、「学校」というものに通ったことのある人間なら誰しも、一度は経験する道なのではないかと…。

 

ついに対峙した森田くんに、岡田くんは謝罪します。けれど森田くんはもうそんなこと覚えてやしなかった。壊された彼の心にはもう何も残されていない。つまりもう、岡田くんは贖罪さえも許されない状況だったのです。

岡田くんを人質に取り、車で逃亡をはかる森田くん。けれど散歩中の犬を無意識に避けて、事故を起こす。我に返った様子の森田くんは、後部座席に座る岡田くんに笑いかけます。

「あれ、岡田くん来てたんだ。借りてたゲーム、返さなくちゃ…」

「また、いつでも遊びに来てよ」

 

…そう、本当の森田くんは、ちゃんと岡田くんを覚えていた。それはいじめに加担した岡田くんじゃなくて、仲の良かった頃の岡田くんの方だったんですよ。それがわかった時、わたしは本当に涙が止まらなくて(今でも思い出すと泣きそう)、そしてダメ押しの回想シーンでの「麦茶持ってきてー」と犬のラストカット…。ずるい!あざとい!と思いながらも、エンドロール中号泣し続けましたよ。

 

森田くんについて、専門家がみれば何らかの病名をつけることは容易いだろうと思います。けれど、それで片付けたら「あの人は病気だからわたしたちとは違う」で終わってしまう。

ラストシーンにあの「麦茶」と「犬」を持ってくることで彼がわたしたちと変わらない人間だということ、誰もが森田くんであり、そして岡田くんになり得るということを示されたような気がします。

原作とは違うエンディングらしいのですが、わたしはこの悲しみと狂気の物語にはふさわしい終わり方だったんじゃないかなと思いました。

 

けれども、どうして森田くんがあそこまでユカちゃんに固執していたのか、明確な理由は最後まで語られないんですよね(安藤さんのように「恋している」訳でもなさそうなんだよなー)。まぁそれが不気味っちゃ不気味なんだけど。

…それにしても、森田剛が森田くん役で、その敵役が岡田くんって、偶然とはいえなんだか妙な因縁を感じてしまったのはわたしだけ?

映画『海賊とよばれた男』公式サイト 

また百田尚樹原作か…。多分観ないです(笑)。

 

同じく古谷実漫画の映画化作品。監督は園子温。つまらなくはないけど…って感じ。

ヒミズ コレクターズ・エディション [DVD]

ヒミズ コレクターズ・エディション [DVD]

 

  

唯一観ている吉田恵輔監督作。イライラするんだけどね、なんか憎めない感じなのよねー。

さんかく 特別版(2枚組) [DVD]

さんかく 特別版(2枚組) [DVD]

 

  

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディー)ーーとにかく、犬がすごい!★★★★(4.0)

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ) [DVD]

 

 

 

あらすじ

13歳の少女リリと飼い犬ハーゲンは固い絆で結ばれていた。母親がしばらく留守をするために、その間疎遠だった離婚した父親の家に預けられることとなったリリとハーゲン。しかし雑種犬に課せられた重税を払いたくない父親にハーゲンは捨てられてしまう。必死にハーゲンを探すリリだったが…。

 

 

 

予告編で犬版「猿の惑星」!などと言われておりずっと気になっておりましたが、やっと観ることができました〜。

f:id:minmin70:20161101110511j:image

オリジナルではなく、リブート版の猿の惑星(創世記)の感じでした。

 

感想は…とにかくもう、犬がすごかった!!

CGでもアニマトロニクスでもなく、本物の犬に演技させたということで、その自然体すぎる愛らしさもさることながら、これ一体どうやって撮ったの?というシーンの連続で、本当に度肝を抜かれるとはこの事。しかも一匹や二匹じゃないからね、250匹だからね。

f:id:minmin70:20161101111127j:image

船の汽笛に思わずびくっとしちゃうハーゲンとか、自然な動きが超かわいいのです。

 

まず、冒頭から疾走する犬たちの映像でもう一気に引き込まれました。

f:id:minmin70:20161101110846j:image

大勢の犬が追いかけてくるのであります!!こわい!すごい!つかみはオッケー!

 

犬好きにはつらい、ショッキングなシーンも多々あり、犬を飼っている人は絶対に涙なくしては観られないと思います。飼ってないわたしでもラストシーンは号泣しちゃったからね。

邦画ではこういう辛辣な犬映画は作れないだろうな〜。

犬と私のやくそくパック(3枚組 初回限定生産) [DVD]

犬と私のやくそくパック(3枚組 初回限定生産) [DVD]

 

 

DOG×POLICE 純白の絆 [DVD]

DOG×POLICE 純白の絆 [DVD]

 

最近の日本の犬映画のイメージ…。

 

日本でも外来種の魚や爬虫類が捨てられて問題になったりもしていますが、「生き物を飼うこと」の覚悟を改めて考えたくなる映画でした。

目下、実家のでかくなりすぎた金魚をどうするか問題が持ち上がっていたのですが…とりあえず捨てたり殺したりはよくないよなぁ、と思った次第(当たり前です)。今度帰った時、水槽掃除してあげよ…。

 

 

 

 

以下ネタバレあり。 

 

 

 

 

リリとハーゲンのシンクロ率高し!お互い呼応するように転落していく一人と一匹。

リリがハーゲンと強い結びつきを持っているのは、家庭環境が大いに関係している。

リリは、13歳の思春期真っ盛りの難しいお年頃。母親とその再婚相手(かもしくは恋人?)と同居しているようなのですが、なんとなく関係はよくなさそう。母親はそのパートナーと3ヶ月も家を空けるというのですから、母娘のスタンスが大体想像できます。

別々に暮らしていた父親とも、疎遠なのかそういう年頃だから仕方ないのか、接し方がどこかぎこちない。父親としては娘を大切に思う気持ちもある反面、まだまだ子ども扱いしているところがあって、リリはそういう父親に対して反発するし、父親は困惑するし、どうも噛み合わない。

本当に信頼できる人がそばにいないという心許なさ。リリにとってハーゲンが唯一心を許せる家族であり、友人だったのでしょう。

だからこそ、離れ離れになった途端バランスを崩したようにすさんでいく。

リリは柄の悪そうな奴らとつるむ男の子に近づいて葉っぱを掴ませられ、ついには警察沙汰に…。

ハーゲンは闘犬稼業の男に売られ、クスリを混ぜた餌や非情な特訓のせいで徐々に野生化していく。ついには同種をかみ殺すまでに獰猛な獣となってしまう…。

その落ちていく様がまるでお互い呼応し合っているかのようで、なんとも切ないのです。

 

リリが警察に厄介になったことで父親はやっと、彼女がハーゲンの喪失をそれほどにまで思いつめていたことを知り「別の犬を飼おうか」と提案します。いや、そういうことじゃねぇんだよなーとは思いながらも、リリはパパに理解を示す。超いい子です。

  

けれどもその頃、闘犬家から逃げ出したハーゲンは当局に捕まり施設に収容されてしまっていた。すでに飼い犬としての「心」は失われ、代わりにそこには、人間への憎しみと復讐心が宿っていたー。

f:id:minmin70:20161104211114j:image

こんな俺に誰がした。

 

 

愛を取り戻せ!少女の奏でるラプソディーに犬はひれ伏す。

施設の職員の喉笛を噛み千切り、殺処分を待つ犬たちと施設を脱走したハーゲン。持ち前の賢さで他の犬たちを統率し、街を人間を襲撃していく。それはさながら軍隊のよう。

リリは、その犬たちの中にハーゲンがいると確信し、野犬と化した犬があふれかえる街へ飛び出す。犬たちが引き起こした惨状に恐れおののきながらも、ついにハーゲンと対面するリリ。しかし、ハーゲンはリリに対しても牙を見せる。それでもリリはハーゲンに親愛の情を示そうとし…。

f:id:minmin70:20161105215224j:image

 

ハーゲンの大好きなトランペットを吹いてあげるのです!その音色に「心」を取り戻したハーゲンはリリの前に伏せ、他の犬たちもそれにならう…。

f:id:minmin70:20161106081435j:image  

序盤でハーゲンが、リリの吹くラッパを心地好さそうに聞いているシーンがあるので、これが鍵になることは薄々わかってはいたものの、それでも思わず涙してしまうのですよー!

人間に危害を加えてしまったこの犬たちは、もはや殺処分は免れない。そう思うとやりきれない気持ちになります。そんな犬たちを照らす朝日があまりに無情です。

 

さて、最後にはそんな娘と犬の様子を父親が感慨深げに見てるんだけど…。あれ、そもそもお前が犬捨てなかったらこんなことになんなかったんじゃないの?おいおい、涼しい顔してる場合じゃねーぞ!(笑)。

…うーん、でも大元の元凶は当局に通報したこっちのおばさんの方なのかな。 

f:id:minmin70:20161106081558j:image

この嫌な感じのおばさんはしっかりと無残に死にます。

  

 

タイトルの「ホワイト」とは?

監督のインタビューによると、タイトルの「ホワイト・ゴッド」は「白人の神」を意味するそうです。映画『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』オフィシャルサイト | DIRECTOR |

犬にとって、人間は神のような存在。でも、その存在は果たして本当に正しいのか?という問題提起でもあるよう。

我々人間は、生き物たちを「飼う」に値する存在なのか?そんな思いが込められているように感じました。

 

「ホワイト・ドッグ」じゃないですからね!間違わないでね!(←「白い犬出てこないなー」と思いながら観ていたトンチンカンの発言)

 

 

わたしが特にギョッとしたのは闘犬のシーン。トレーニングや撮影に十分時間をかけたらしいです。 人間同士の喧嘩なんかよりよっぽど迫力があったよ。

 200匹の犬が魅せる名演 『ホワイト・ゴッド』のアニマル・トレーナーに聞く 動物演技指導の秘訣 | The Creators Project

 

闘犬と聞いて思い出すのはこの映画。ガエル・ガルシア・ベルナルがキラッキラでまぶしい。 イニャリトゥ監督作では一番これが好きかも。

アモーレス・ペロス ― スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

アモーレス・ペロス ― スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]