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ファンタスティック映画主婦

専業主婦の専業主婦による専業主婦のためにはならない映画ブログ。考察などとは無縁の感想文は基本ネタバレ。独断と偏見による☆評価 満点は★5 (2017年4月「苺チョコレートをまるかじり」よりタイトル変更しました )

悪党に粛清をーー王道なのに新しい、デンマーク発〇〇ウェスタン★★★☆(3.6)

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あらすじ
舞台は1870年代のアメリカ。兄とともに故郷デンマークを離れ、新天地アメリカへと渡った元兵士のジャン(マッツ・ミケルセン)。事業も軌道に乗ってきた7年後、妻子を呼び寄せる。しかし喜びもつかの間、駅馬車で乗り合わせたならず者に妻子を殺されてしまい…。
デンマーク・イギリス・南アフリカ合作、ロケ地は南アフリカという異色の西部劇。



鑑賞日  2015年12月5日




いや〜、渋くてドライな西部劇でした!
先月観たテス・マクファーレンの「荒野はつらいよ」との落差…(笑)。

主演は我らがマッツ・ミケルセン。監督はドグマ95設立者の一人「キング・イズ・アライブ」のクリスチャン・レブリング。二人ともデンマーク出身。
そしてこの映画、舞台はアメリカと言っておきながら、ロケ地は南アフリカだし、資本はデンマークとイギリスだし、西部劇なのにアメリカは噛んでないってのも特徴。
でも、ちゃんと西部劇!って感じだし、おそらくマニアじゃない限り、風景や土の様子に違和感を感じることはないと思います。少なくともウェスタン素人のわたしには土が赤いとか、砂埃があまり立たないとか、全然気づかなかったよ。

イタリア産の西部劇をマカロニウェスタンと言うなら、北欧製だからサーモンウェスタン?それともデンマークの名物オープンサイドウィッチにちなんでスモーブローウェスタン?
まぁ、どうでもいいっすね。


えーとね、白状すると、マッツ目当てで観ましたよ。もしも主役がベネディクト・カンバーバッチだったらね、多分観てない(笑)。ベネディクト・カンバーバッチ、なんかとりあえず言いたかっただけです。意味はないです。
残念ながら今回、マッツは脱ぎません(え、そこ⁈)。

原題は「The sulvation」=救済。まぁ確かにそういう話なのだけれど、これでは何とも味気ない。「悪党に粛清を」と言う邦題をつけた方、素敵センスです。





以下ネタバレしてます。






















新天地アメリカへ渡りはや7年。やっと妻子を呼び寄せたジャン=マッツ。冒頭の奥さんとの再会シーンからときめかしてくれます(笑)。
列車から降りてきた妻を見つけても、今どきのアメリカ人みたいに抱き合ってチューしたりしない。言葉も発しない。ただ優しく微笑むだけ。でもそれだけで会えて超嬉しい‼︎ってのが伝わってきてほくほくしましたよ。北欧男は目で愛を語るのさ。
もうジャンったら、奥さんしか見てない。隣にいる息子にはほとんど目を向けない。ちょっとは構ってあげて(笑)。
でもやっぱり我慢できな〜い!って馬車に乗る直前にチュー。しかし、その後悲劇が…。
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この駅馬車で乗り合わせたゴロツキに、妻子を殺されてしまうのです!何も再会したその日に殺さなくても…この監督無慈悲だわー。
ジャンは怒りにまかせ、ゴロツキどもを射殺してしまいます。…あれ、開始10分で、悪党、粛清されちゃった(笑)。
しかし、そのゴロツキが実は町を牛耳る用心棒デラルー(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟だった…あぁ、さっきのは小悪党だったのね…というわけで、ジャンとその兄は町の人にあっさり捕まってしまいます。えぇっ!弱い!弱いよマッツ!

ジャンのお兄さん、カタギの人間らしからぬ顔立ち(失礼)から「真の悪党はコイツだな(にやり)」って勝手に思って観てたけど、全然違ったー!中盤のメインはこの兄です。デラルーに捕らえられ、拷問(と言っても吊るされてるだけ)されていたジャンを、元兵士の腕を持って見事奪還!しかし囮になるため追っ手を引きつけ、結果殺されてしまいます…(西部劇の鉄板、馬による引きづり回しはお兄さんに採用)。お兄さん、超いい人だったー(泣)!


大切な家族を殺され、怒りに燃えるジャンはデラルーのアジトを襲撃。元兵士で狙撃に長けたジャンは、一人、また一人と撃ち殺して行くのであります!
この敵陣襲撃シーンはほとんどセリフがありません。仰々しいBGMもなく、ひたすら殺人マシーンのように銃を撃ち、ナイフを振りかざすマッツが映し出されるのみ。
確かに派手ではない。敵の人数も少ないし、もっとエグい暴力描写を求める人にはぬるく感じるかも。でも、いいの。マッツがすげぇかっこいいから‼︎


最終的にジャンは負傷しながらも、エヴァ・グリーン演じるマデリンとともにデラルーを撃ち殺し、一味を壊滅させます。
そこへ絶妙なタイミングで現れる腰抜け保安官。「町のみんなを救ってくれた」とかなんとかのたまうわけ。
そんな保安官に二人は…
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チャキーン!とっととうせやがれ!とでも言うかのように銃口を向けます。
そうして、二人はそのまま荒野に消えて行きましたとさ…。


時間は90分ちょいと短めです。もうちょっとマッツを観たかった…っていう絶妙な腹八分目感(笑)。
もともと脚本自体マッツの当て書きだそうで、確かに、寡黙であまり感情を表に出さない役どころは彼にぴったり。怒りや絶望を表情に出さずとも訴えてくるマッツの抑えた演技は本当に素晴らしいです。
エヴァ・グリーンも一言も喋らないのにあの存在感はすごいの一言。列車での逃亡(未遂)シーンなんて目だけで緊迫感を煽ってきて、かなりのドキハラもんでしたよ。惜しむらくは終始しかめ面なのでまったく「姫」らしくなかったこと…。
悪役のジェフリー・ディーン・モーガンも激シブでよかった。なのに念願叶ってマデリンと夜を過ごせる!となった時の顔が嬉しそうで可愛いかった。拒否られてムキになる感じもまた萌え(笑)。



撮影に関して特に詳しくはないのですが、ジャンが床下に隠れながら銃を構える時のズームアップはどこか昔のアクション映画を彷彿とさせるし、アングルなんかも基本に忠実というか、古典的な感じがしました。
自然光による撮影でコントラストは低め、そのせいか全体的に錆がかったような色調(そもそも土が赤茶色)。意図的に時代感を出そうとしているのでしょうが、それが不自然じゃない程度にリアリティがあって、逆に今っぽいって言う不思議。


リアリズム重視のドグマ監督らしく、悪者やっつけてめでたしめでたし大団円!とはいかない。復讐の不毛さ、現実の理不尽さを見せつけ、遠ざかって行くジャンの後姿に晴れやかさはない。
ラストシーンの引きの画で映し出されるのは、荒野に乱立する石油発掘装置。それはまるで死者を弔う墓標のよう。または大量の石油=たくさんの血が流された、とも解釈できる。そこに人間の業みたいなものを感じ取って、なんともやるせない気持ちになります。

でもなぜか、後味は悪くない
ジャンの心に真の救済が訪れたとは思えないけれど、それでも前へと進もうとする。それが人間の強さとたくましさなんだと感じ入った次第です。






悪役かわいすぎ★★★
ヒロイン仏頂面すぎ★★★★
マッツかっこよすぎ★★★★
総合★★★☆(3.6)



子煩悩なマッツに胸キュン。わたしの感想はこちら。あ、ちなみにこちらは脱ぎます(だからそこなの⁉︎)。偽りなき者--その嘘は永遠に消えない。★★★★☆(4.8) - 苺チョコレートをまるかじり

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悪いマッツに胸キュン。血の涙を流すって設定…。えーっとこちらは脱ぎry