ファンタスティック映画主婦

専業主婦の専業主婦による専業主婦のためにはならない映画ブログ。考察などとは無縁の感想文は基本ネタバレ。独断と偏見による☆評価 満点は★5

第5惑星ーーなるほどその手があったか!世界平和のヒントがここに?★★★(3.0)

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あらすじ
21世紀後半、地球平和を成し遂げた人類は、宇宙開拓に乗り出した。惑星を植民地化する中で、ドラコ星人、通称「ドラック」との戦争が勃発した。
兵士でパイロットのダヴィッジは戦闘中、誤って未開拓星に宇宙船ごと墜落してしまう。しかしそこには敵である「ドラック」の一人も不時着しており…。





職場の人から猛烈に勧められた映画。
監督はなんとなく大味な映画ばっかり撮っている印象のウォルフガング・ペーターゼン。『アウト・ブレイク』とか『パーフェクト・ストーム』とか『トロイ』とか。やはり有名なのは『ネバー・エンディング・ストーリー』かな…って何気にこの監督の作品ほぼ観ててびっくりした(笑)。この人別に意識したことなかったんだけど。


面白かったです。途中までは…。勧められた手前、あんまりけなすのもあれなんだけど、とにかく終盤の展開が雑すぎ。監督、多分途中から飽きてきたな…と言うか、描きたいことは中盤でもうやっちゃったから落としどころがわかんなくなっちゃったのかも。


以下ネタバレあり。







特殊効果をILMが手がけているそうですが、今観るとチープさは否めない。時々見え隠れするザ・スタジオ感。85年の映画ですからそれは致し方ない。
ただ、この映画の本質はそこではないのでまぁそこまで気にはならない。

途中までは『ノー・マンズ・ランド』っぽい話なのかなーと思って観ていました。
敵同士がハプニングがあって止むを得ず協力することになり…と。
思って調べてみたら、他方では世界のミフネの映画『太平洋の地獄』の宇宙版なんて言われたりもしていたみたいです。

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下のジャケと今作のジャケ、似てますな。となると三船敏郎はドラコ星人側か…。



いがみあう敵同士が反目しながらも協力し、交流を深めていく…って話自体に目新しさはないのだけれど、この『第5惑星』の驚く展開は、なんと片方が妊娠しちゃうというところ!
「俺じゃないぜ」とダヴィッジも笑っちゃうんだけど、ドラコ星人は雌雄同体(確かに冒頭そう語られていた)で、その時が来ると自然に命を宿すという生命体なのだとのこと。
いやいや、辺境の星でサヴァイヴしている時はその時じゃねーだろ(笑)。繁殖基準がよくわからないのだけれど、とにかくドラコ星人ジェリーは子どもを産まなくちゃならない。

「名前はザミス、もう決めてあるの…」なんて風には言わないんだけど、面白かったのは妊娠したジェリーが、どうも女っぽい仕草を見せるところ。あえてなのか、「妊娠=女性」とこちらが考えてしまうからなのか、出産に近づくにつれ艶めいていくジェリー。見た目は魚の怪獣みたいなのに。不思議です。

けれどもこの星の謎生物に襲われ、家を壊され、深手を追ったジェリーは日に日に弱っていく。死を覚悟したジェリーはダヴィッジに、自身の「家系」を暗記させます。長老の前でそれを朗誦し、子をドラコ星人として認めてもらう。それは本来親のドラコ星人の役目であり、それがドラコ星人にとっての名誉であるらしい。そしてその役目をダヴィッジにしてもらいたい、とジェリーは頼みます。
はじめは拒むダヴィッジでしたが、結局はその役目を受け入れることにします。
それを聞いてジェリーは、子をダヴィッジに託し安心した表情で息を引き取ります。

産まれた子ザミスを取り上げたダヴィッジは、とても喜びに満ちた顔をしていました。ドラコ星人の赤ん坊はなかなかにキモかわいい。
そんなこんなで、ダヴィッジは苦心しながらザミスを育てます。
「そろそろ教育しなくては!」と言ってやることがなんと、アメフトの練習(笑)。あー男親ってなんでこうなの?(ヤレヤレ…)と思わず爆笑。

けれどもザミスは「いつかおじさんみたいに5本指になる?」とか、「ぼくもおじさんと同じ顔になりたい」とかいじらしいこと言ってダヴィッジを困らせます。お互いが違う生命体であること、いつか故郷の星へ帰すことをダヴィッジは約束するのです。それはもちろん、かつての友ジェリーとの約束でもあるから…。


そんな擬似親子の仲睦まじい日々は唐突に終わりを告げる。以前からこの星で活動していた悪名高き「鉱山荒らし」にザミスが捕まってしまったのだ。しかも助けようとしたダヴィッジは凶弾に倒れてしまう…!ザミスの運命やいかに⁈
…ってこの辺りまでは本当に面白くて。
「敵同士が互いの言語や文化を知る中で交流することで信頼関係を築いていく」「自分の子を託せるまでになる」「その子を育てることで自分と相手の文化を知るハイブリッド第二世代を生み出す」その結果、世界平和を達成する!

という社会派もびっくりの高尚な物語をやろうとしたわけでして。実践可能かどうかは別としてこの考えは素晴らしいと思うし、そのテーマ自体はわたしも評価したいのです。

戦争なんて、互いの言い分によって正当性はどうとでもなる話で。
日本人が「てめぇ原爆なんて落としやがって」といえば、アメリカ人は「こちとらパールハーバーを忘れねぇからな」となるし。「そっちがけしかけてきたんだろうが」「そっちが他の国ちょっかい出すからだ」「仲間がたくさん死んだんだぞ」「こっちだって同じだ」
…とまぁ押し問答なことになりかねない。今作でもダヴィッジとジェリーは似たようなことやってましたね。果ては野蛮人だの醜いだの関係ない言い合いになる。

戦争のはじまりなんて、どっちが正しいとかなんて一概に言えないんですよ。強いて言えばはじまったことがもう悪いわけで。
だからいつ終わらせるのか、どう終わらせるべきなのかという方が大事なんです。

そこをこの映画では「相手の子どもを育てる」という荒治療で回答にしようとした。
いや、でもこれって実際すごい理にかなってねぇ?って観ながら思ったんですよ。
いがみ合っている国同士の子どもを入れ替えて育てるの。もちろん、相手の文化もちゃんと教えるんだよ。入れ替えた家族同士も交流して。自分の子どももちゃんと育てて欲しいから、託された子だってきちんと育てるでしょ。
それぞれの言語と文化を習得して育った子どもは、きっと生みの親の国も育ての親の国も大切に思ってくれるはず…ってのはかなり理想論で、まったく現実的ではないのだけれど。


そんな荒治療は無理でも、まずは相手の文化や言語を学ぶこと。憎悪や偏見を取り除くにはそこからなのかもしれない。
中盤、ドラコ語を読めるようになったダヴィッジが、ジェリーが大切にしていた「教典」を読み上げる場面があります。「他者に不当な扱いをされても、愛をもって接すること」…人類にも似たような教えがある、と言うダヴィッジ。それを聞いて、ジェリーは、真理は等しく真理である、と説きます。言語や文化が違っても根底にあるものは等しいのです。互いの共通点を見つけ、二人が心を通わせるこのシーンは、黄昏の背景も相まってとても美しいです。
とはいえこの後、前述の押し問答みたいな言い争いをしちゃうんだけどね(苦笑)。



えーと、ラストですか?本当つまんないから書くのも嫌なんだが(笑)、身も蓋もなくオチまで書いておくと、実は死んだと思われたダヴィッジは生きていて、なんと軍の宇宙船に助けられて生還します(今まで探しにも来てくれなかったのに!)。で、ザミスを助けるために反対を押し切って不時着した星に戻り、「鉱山荒らし」からザミスとその奴隷となっていたドラコ星人たちを救い出します。
しかも、ピンチの時に追いかけてきてくれた同僚の軍人が助けてくれるという親切仕様。
そしてダヴィッジはザミスとドラコ星人たちを故郷の星へ連れ帰ることができましたとさ。めでたしめでたし…。


中途半端なアクションシーン、無理矢理悪役感を出してきた鉱山荒らし、ご都合主義すぎる助っ人展開と、終盤はそれまでのいいところを帳消しにするくらい無駄で駄目駄目な演出が続きます。
例えばダヴィッジが撃たれた後の展開が、ザミスが教え込まれたアメフトの才能を開花させ、鉱山荒らしを圧倒!→奴隷のドラコ星人を解放!→瀕死のダヴィッジを連れて故郷に帰るザミス。ダヴィッジは息も絶え絶えに家系を諳んじてみせる。→その姿にうたれた長老たちは地球人と和平を結ぶ。そしてザミスは地球人のアメフトチームの花形選手として活躍したのであった…めでたしめでたし!
って方が良くない?ダメすか?(多分ダメ)




あと、印象に残ったのはドラコ星人の「家系」って概念ね。
単一生殖なんだから自分も親も子どもも、遺伝子的に言っちゃえば自分と同じなんだから、自分が誰の子かなんてそんな重要じゃない気がするんですよね。
むしろ有性生殖である人類が「家系」を重んじる、っていう方が自然だと思うんですけどね。いろんな人の血が入ってて、だから自分だ、っていう。
でも実際のところは普通の人は自分の家系ってそんなに詳しくない。親と祖父母、頑張って曽祖父母くらいの名前しかせいぜい知らないと思うんですよね(すごい由緒ある家柄なら別だけど)。
単一生殖の生命体が血筋を重んじるってのは面白い発想。ラストにはちゃんとダヴィッジ=人類がそこに名を連ねることで二つの文化をつなぐという帰着もうまかったし。

だからこそ終盤の展開が残念。
残念すぎるのよおぉぉぉ!!




ところで、邦題の『第5惑星』ってのは何から来ているんですかね?不時着した星は「フィンラインⅣ(第4)」って呼ばれてたし、原題は『enemy  mine』だし。???




なんとなく連想した映画。なかなかシビア。

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