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苺チョコレートをまるかじり

観賞した映画(DVD、TV放送含む)の感想をつらつらと書いていきます。独断と偏見による☆評価 満点は★5

蜘蛛女のキスーー原作の良さをことごとく破壊。でもまぁこれはこれで…。★★★(3.0)

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あらすじ
政治犯として刑務所に入っているヴァレンティン。彼は同室のゲイ、モリーナから悲恋の映画の話を聞かされている。
革命を目指す政治犯と女こそ至上と考えるゲイ。価値観の相違から反発し合う二人だったが、徐々に心を通わせていく…。





原作はアルゼンチンの作家、マヌエル・プイグの小説。70年代に流行ったいわゆるラテンアメリカ文学の、アルゼンチン代表みたいな人です。
原作小説はかなり昔に読んで、度肝を抜かれたクチです。好きな小説の一つです。
映画化されていることも知っていたのだけれど、なんとなく観るのをためらっていたんですよねー。
でも機会があったので観ることにしました。



以下ネタバレ。
原作小説についても書いています。





『蜘蛛女のキス』の小説の何が面白いかと言うと、ほとんど二人の会話文で構成されているんですね。地の文が無いので、この二人が何者なのか、どういった関係なのか、読者はいろいろ想像しながら読み進めていくことになるのです。 
プイグは他の作品も大体そんな感じで、会話文だけ、新聞記事や公判記録だけ、みたいな感じの小説ばっか書いてます。この人は映画監督や脚本家になりたかった人で、挫折して小説家になったという経歴の持ち主なので、いわゆる普通の小説ではないものを書きたかったのでしょう(もしくは書けなかったのか?)。

最初はただ恋人?の男女が映画の話をしながら恋愛問答みたいなことをやっているだけなのかとなとも読めるのですが、途中で実は二人とも男で、しかも場所は刑務所だった!ということがわかってきます。
女言葉を話していた方は実はゲイ(今でいうオネエ)だったわけです。


そんな、読み進めていくとわかる驚き!が映画では最初からバレバレで(笑)。まぁモリーナ役のウィリアム・ハートを映しちゃうんだから当たり前なんですけど。
それは仕方ないとして、残念だったのは、原作にあった二人の会話の妙みたいなものも一緒に削がれてしまっていたところ。
もちろん映画は視覚的なものですから、小説みたいに二人が会話しているだけじゃ面白くもなんともないですよね。だからまぁ、いろんな視覚的要素が会話を時々阻害してしまうのは当然と言えば当然で。

ちなみに、この『蜘蛛女のキス』はプイグが戯曲にして、舞台化もされています。何度か再演もされている人気演目だったようです。おそらく舞台の方が相性は良いだろうと推察します。
じゃあ、映画は駄目だったか、というと、そうでもないんですよね。前述した部分が気になったとは言え。
モリーナ役のウィリアム・ハートは乙女感がすごくて、ただの同性愛者ではなく「中身は女(の子)」であるというところをすこぶる生き生きと演じていたと思います(この役でアカデミー賞を受賞しているのも納得)。
うまいなと思ったのは、モリーナは看守たちの前では乙女にならないんですね。身を心も乙女になるのは、バレンティンの前でだけ。
ただ時々字幕がね、「そこは女言葉で訳せよ」と思うところもありましたけど。


あと、映画の話を二つ(ほぼ一つ)にしたのもよかったのかな。しかも、その話はモリーナの妄想だった?という演出もよかったと思います。それによりラスト、まるでゴミのように捨てられるモリーナの惨めさがより一層増していた気がしました。
彼女の死は誰のためにもならない。完全に無駄死に。バレンティンが彼女の死を知ることもなければ、彼女に思いを馳せることもない。この、「完全に片思い」というところが本当に哀れで切ない。


あと、印象的だったのは「男がみんな女みたいだったら争いなんて起きないのに」というモリーナの台詞。
男ばかりが好戦的かというとそういうわけでもないだろうと思うのですが、モリーナが「女」というものをどう認識しているか、あるいは「どうあるべき」と考えているかがよくわかる台詞だなと思いました。
彼女はあまりに悲しい死に方をしたけれど、その死はもしかしたら、彼女の求めていた「女」のあり方に非常に近いもので、モリーナは死してついに憧れの「女」になれたんじゃないだろうか。そう考えれば、これからも自分と環境に失望しながら生きるより、ある意味で彼女は幸せだったとも言えるのかもしれない。




女子力①かわいらしさ★★★
女子力②健気さ★★★
女子力③したたかさ★★★★
総合★★★(3.0)





内容は全く違うけれど、ゲイとノンケが心を通わせるキューバの映画。社会情勢なども、いろいろ勉強になる。

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