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海街diary【映画・ネタバレ感想】喪服選びの参考に!?四姉妹の装いに注目したいファッション映画。★★★☆(3.5)

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あらすじ

鎌倉に住む、幸、佳乃、千佳の幸田3姉妹。ある日、妻子ある身でありながら女性と家を出て行った父が亡くなったことを知る。三人はその葬式の席で異母妹、中学生のすずと対面する。病気の父を見舞ったのが彼女だと気付いた幸は、鎌倉で一緒に暮らすことを提案して…。

 

  

土曜日にフジテレビで地上波初放送とのことです。

「海街diary」フジテレビでオンエア、綾瀬はるかや広瀬すずら4姉妹が地上波初登場 - 映画ナタリー

せっかくなのでこの機に感想を上げておこうと思いました。

ネタバレは多分そんなにしていない。というか、バレるようなネタはない。

 

 

リンネル系ライフスタイル映画

これはね、おそらく「プラダを着た悪魔」とか「セックス・アンド・ザ・シティ」と同じ、ファッション映画なんだろうと思います。ライフスタイル映画とでも言いますか。アメリカのあちらは都会派でしたけどね、今の日本の女性の「トレンディ」は都会ではなく、「田舎感と手作り感」にあります。

フードスタイリストの飯島奈美さんが支持されたり、荻上直子監督の映画が受けたりしている昨今ですからね。今時の若い日本人女性は、これみよがしの美味しそうな手料理(素朴な家庭料理!)とか、手入れの行き届いた古民家(掃除はもちろん箒とはたきで!)とか、ハーブの庭とかに魅力を感じるんです…ってお前らベニシアかよ!

休みの日にはジャムを煮て、パンを焼く。…ってお前らムーミンママかよ!

こんな生活したいなぁ〜って言う女性の愛読雑誌は天然生活とリンネルですね、きっと。

 

とか言うわたしも『マザーウォーター』は結構好きなんだけどね…。あの、振り切れた投げやり感と言うか突き抜けたヤケクソ感と言うか…。「お前ら水とか氷でも美味しそう〜とか言うんだろ!」と言う飯島奈美の挑発。…違うか。

 

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さて、この映画にもそんな香りがします。現実には絶対に存在しないような美人すぎる四姉妹が、素敵な古民家で梅酒作ったりしている映画ですから。多分話云々よりも、雰囲気を楽しむ映画なんだと思います。

長女と母親の確執とか、四女のわだかまりの瓦解とか、一応のエピソードはありますが、あんまり重要じゃない(とわたしは感じた)。

 

 

でも、並のオサレ映画じゃない

ただね、やはり是枝氏、恐ろしくセンスがいいですよ。

アングルだったり、絵作りだったり、もうね、ナチュラルでありながら作為的というか。すずが桜並木を空を見上げて自転車で通りすぎるシーンとか、花火大会のシーンとか。下手な映画だと、花火を見上げる人物を後方から撮るなんてクソベタな撮り方しちゃいますが、世界のコレエダはそんなことはしない。

花火なんて一切映さないんだよ!!

いやー、あのカットは潔かった。かっこいい。その分人物たちの生き生きとした顔を撮るわけ。是枝さんはドキュメンタリー出身だから、人物へのフォーカスにこだわるんでしょうね。毎度毎度、役者のハッとしてグー!な良い表情を映し撮るよね。

あと、やっぱり編集が相当うまいんだと思います。スパッと切るとこは切る。グダグダやらない。そこら辺のオサレ映画野郎とは格が違います。

 

 

虚構だから、美しい

なんていうのかな、全体的にとても非現実的なんですよ(そもそも会ったばかりの異母妹に「一緒に暮らさない?」ってのがまずそもそも非現実的だし)。

言うなればこれは「究極の虚構の癒し」映画なんですよ。

若くてかわいい女の子たちがキャッキャウフフしてて、海や山がきれいで、観終わった後に「癒された〜また明日から仕事頑張ろーっと!」って思える。

非現実的だからいいんですよ。妙に生々しいと萎えちゃう。

だから姉妹も仲良しで不倫はあっさり。出てくる人は、みんないい人。もう、これはこれでとてもいいと思います。

彼女たちは存在しないし、あんな鎌倉も存在しない。 全てが泡泡としていて、幻みたい。それは主役の四人の、若さだったりきらめきみたいなものが、永遠ではないということと同じなんですよね。

物語の中で言えば、四姉妹はいずれあの家から出ていくだろうし、ずっとあの場所に居続けるわけではない。「永遠ではない」から儚くて、美しいんです。そこが多分、この映画の良さなんだと思います。

 

 

 

姉妹(+α)の喪服に注目だヨ!

さて美しいと言えば、わたしが注目したのは彼女たちの服装です。

特に喪服。だって喪服のシーンが3回もあるんだよ。狙ってるだろ。

 

まず、しっかり者の長女・幸。

きちんとしたスーツスタイル。良くも悪くも個性がなくてスキもない。

ファッション誌的なコメントをするとしたら「きちんと派のあなたはかっちりスーツスタイル!しっかり者のお姉さんをアピールできそう」とかですかね。

 

続いて次女・佳乃。

脚線美を見せつけるミニスカート。無造作な茶髪のミディアムヘア。

「脚に自信のあるあなたは思い切ってミニを選んでみては?ヒールの靴を合わせて美脚をアピール。髪色は明るめにして」

 

ちなみにわたしが一番好感を持ったのは、三女・千佳。

ポイントは巾着型のバック。前髪はもちろん眉より上。

「喪服初心者のあなたは黒いシャツとロングスカートでフォーマル感を演出。短めバングをキュートに魅せるよう後ろ髪はゆるくまとめて」

 

そして末っ子・すず。制服。可愛すぎる。

「まだまだ学生のあなたはお気に入りのいつもの制服で。涼しげなセーラーカラーに、風に揺れる短めボブが映える!お姉ちゃん受けも抜群」

つなぎのスカート姿もかわゆかったー。

 

番外編母親・大竹しのぶ。

「まだまだ女で勝負したいあなたは、すっきりとした首回りで若々しい印象に。遅れて到着することで、おちゃめな自分を演出して」

大叔母・樹木希林。

「和装スタイルで一族の大御所感をアピール。若い姪たちがぎくりとするような本音を吐くことも忘れずに」…って何だこれ(笑)。

 

他にも、姉妹の性格に沿ったファッションが随所に表れます。一つ屋根の下に住んでてこれだけ服の趣味が違うってのも、あんまりないよーな。服の取り合いとか、結構姉妹あるあるだったりするのだが。

 

きちんと系の長女。露出度高めの次女。フォークロア、チチカカ系の三女。あどけないスポーツ少女の四女。これだけはっきりタイプが分かれてると、「あなたのお気に入りスタイルは誰?」…って言われてるような気がしてくる。

 

 

随所に溢れるフェチ感と脇役陣の好演

ただこの映画、絵面は完全に女性向けの振りして、目線はかなり男寄りなんですよね。

冒頭からカメラが長澤まさみのつま先から舐めるように追うという、なかなかにフェティッシュなカットからはじまるからね。男性陣の「ィヤッホーイ*(^o^)/*」って顔が浮かびましたよ。極め付けは広瀬すずのバスタオル扇風機。誰得?そらロリ得だろっていうね(笑)。

長澤まさみが広瀬すずにペディキュアしてあげるシーンなんて、マニアックにエロティックでした。

 

けれど、本作がただのファッション映画で終わっていない、と言うのも事実。

是枝氏の手腕ももちろんですが、ゲスト的に登場する脇役の存在も大きいと思います。

儚げな笑顔からにじみ出る不幸感の風吹ジュンや、いい方のリリー・フランキーだったり。

他にも、おちゃらけてもにじみ出る色気の堤真一とか、実直を絵に描いたような加瀬亮とか、いい歳してなぜかビッチ臭漂う大竹しのぶとか。みんなちょこちょことしか出てきませんが、その度にしっかり画面を締めて行ってくれます。

四姉妹だけの時のふわっとした場面とのメリハリがついていて、特に話らしい話もないのにダレることもないんですよね。

そしてやはり、相変わらずの樹木希林の存在感はでかいわ…。

 

 

というわけで、是枝監督の作品の中ではそこまで好きではないですが、そこそこ楽しく観られました。リンネル愛読者の方、長澤まさみの足を堪能したい方、日々の生活に癒しを求めている方は是非どうぞ!

 

 

それにしても、まえだ弟と広瀬すずは釣り合わなさ過ぎ。すずが内心まえだを鼻で笑っているように見えたぞ!まえだがかわいそうだ!(なんとなく失礼な言い方)

この頃に比べたらまえだ、成長したなぁ~。橋本環奈が鬼かわいい映画です。 

 

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是枝作品の中ではこれが一番好きです。

 

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作品情報
  • 監督 是枝裕和
  • 原作 吉田秋生『海街diary』
  • 脚本 是枝裕和
  • 音楽 菅野よう子
  • 製作年度 2015年
  • 製作国・地域 日本
  • 出演  綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず