ファンタスティック映画主婦

専業主婦の専業主婦による専業主婦のためにはならない映画ブログ。考察などとは無縁の感想文は基本ネタバレ。独断と偏見による☆評価 満点は★5 (2017年4月「苺チョコレートをまるかじり」よりタイトル変更しました )

アイアムアヒーロー ーーつわり中妊婦が観た感想。★★★☆(3.9)

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あらすじ
鈴木英雄(大泉洋)は35歳のうだつの上がらない漫画家アシスタント。15年前に新人賞の佳作を取って以来まともに漫画をかけておらず、自分が主人公となる妄想をたくましくさせてはさえない日々をやり過ごす毎日。私生活でも、業を煮やした同棲中の恋人てっこ(片瀬那奈)に家から追い出される始末。
しかし、そんな英雄の鬱屈した日常も、刻一刻と終わりを迎えようとしていた…。






すみません、私事で大変恐縮なんですが、今実は妊娠4ヶ月でして。一段落はしたものの、まだ若干つわってるような状態です。
そんな中、先日近くに住んでいる義妹(ホラー、スプラッター映画好き)から、「アイアムアヒーロー観に行こうよ♡」とお誘いを受けまして。さすがに一瞬「今の時期にそういうのはちょっと…」と躊躇ったのだけれど、「いや、もしかしたらこれは逆に面白いかもしれないぞ⁉︎」と思い直し、先日のレディースデーに仕事が休みになったこともあり、女二人で観てきましたよ〜。
平日朝イチの回だったこともありお客さんはまばら。しかし斜め後方に座った初老の女性が序盤でいきなりいびきかきはじめたのは驚いた(笑)。
ちなみに原作は1、2巻を読んだだけ、たまーに雑誌でチラ見している程度です。



感想は、




やべぇ!!なんかいろいろ出そうになったぜ!!!!(笑)




以下ネタバレ。









いやいや、大丈夫です。何にも出してませんよ(笑)。汗と涙と笑いは出ました。
グロ耐性は人並みだと思うのですが、そこまでおえ〜とはならなかったかな。一応リバースの不安もゼロではなかったので出口に近い席とったんですけどね、杞憂でした。
とりあえずね、すげー面白かったです!

展開もスピーディーだし、何よりZQNの造形がよかったですね。適度に気持ち悪く、そして悲哀とおかしみが同居しているっていう。ある意味「同じ人間だった」ことが強く感じられて、なんだか切なくなった…。ゾンビ見て悲しくなるなんて初めての体験でした。

血しぶき、ダメ絶対!って人でなければおそらく楽しめる映画だと思います。ゾンビ映画の基本(崩壊する日常、籠城、極限状態における人間の愚かさ)もしっかり押さえているので、ゾンビビギナーには最適な一本だと思う。…ってわたしもそんなにゾンビ詳しくないけど(ロメロの「ゾンビ」とか、「死霊のはらわた」あたりは淑女の嗜みとして観賞済みです)。

また、主役の大泉洋はじめ、キャストも素晴らしかったです。長澤まさみ、厭世アバズレ感!吉沢悠、爽やかすぎるクズ!岡田義徳、ナチュラルボーンヒャッハー野郎!
特に前半の白眉は同僚アシ役の塚地武雅。彼の壮絶な決断には、非モテリア充でなくとも涙を禁じえないはず…って大げさ?

とにかくみなさん楽しそうに演じられていて(ゾンビ役含む)、それがスクリーンからも伝わってくる感じ。うんうん、観ているこっちも楽しくなるよ!


そんなわけで以下、好きだった点や気になった点をつらつらと。




違和感に鈍感であるということ

原作の1巻は、最後の方までほとんど何も起きないんですよね。でもどこか不穏な雰囲気が漂う。そこは映画も同じで、序盤はなんとなーく違和感を感じつつも英雄のぼんやりとした日々が続く。確かに日本人てさ、実際すごいことが起きても、身に降りかかるまでは危機感を持たなそうで、この辺りは妙にリアルだと思う。あれ?なんか変だな、と思っても目の前のことー仕事とか毎日の生活の方に結局意識が行って、そんな違和感も忘れてしまう。
で、ヤバイ!と思った時はもうすでに遅い。

英雄も、漫画は描けないわ彼女ともうまくいかないわで違和感なんて気にしていられない状況。わたしが特につらかったのは「英雄くんのそれは夢じゃなくて妄想だから!」っててっこに言われるところね。身につまされる人、いっぱいいるはず(泣)。
ただ、この時てっこがヒステリックに陥っていたのは、すでにZQNに感染していたからなんだよなぁ。それでも最後の最後に「英雄くんと一緒にいたい」と言ったてっこの乙女心を思うと非常に切ないのであった…。
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ZQNとして覚醒するてっこ。蝿がぶんぶん飛んでるのがまた嫌な感じ。


気合の入ったパニック描写とカークラッシュ

まず、すこぶる盛り上がったのは、前半のハイライト「阿鼻叫喚の市街地」!

ZQNてっこに襲われ、地獄と化した仕事場を後にした英雄は、町中が異常な状況にあるとやっと気付きます。
カメラは住宅街の狭い路地を必死に逃げ惑う英雄を追いかけます。わらわらと出てくるZQNたち、無残に襲われる人々(襲われている人をスマホで撮影するアホとかもいる)。そうして叫びながら逃げる英雄が大きい道路に出ると…
ドーン!
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至る所から煙が上がり、大勢の人の悲鳴が響き、疾走する救急車が容赦なく人をはねていく。これぞ、パニック!
最近の大作だと「ワールド・ウォーZ」でも序盤でパニックに陥る市街地のシーンがありましたが、それに負けるとも劣らない迫力があったと思いますよ(人数では負けるとは言え)。それに逃げてるのが素敵なブラピじゃなくて、もっさい大泉洋だかんね。悲壮感と絶望感はこっちの方が上(笑)。

あと、高速道路のシーンね。いやー久々に邦画で満足の行くカークラッシュを観ましたよ。実写版「ルパン三世」は見習ってほしい。
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いい感じの事故感。

風間トオルの捨て身ZQN、「優良ドライバー」村松利史の超いい人そうで逆に怖いZQNもよかった。


ZQNの悲哀

今作で言うところのゾンビ=ZQNは生前の言動を繰り返す、という特徴があります。
それがね、なんかとても切ないの。
電話片手に持ったまま「お世話になっておりまーす」と言い続けるサラリーマンとか(通勤中みたいなサラリーマンもいたな)、「いらっしゃいませー」連発する店員とか、お巡りさんは「そこ入らないでー」とか言ってる。
「ZQNは過去に生きている」というセリフもありましたが、とらわれている過去が仕事って、なんか悲しくならない?

そんな感じなので、他のゾンビものと違って、ZQNそのものは怖くはないです(いきなり出てこられるとびっくりはする)。顔や体が崩れているのもなんだか愛嬌がある感じ。って言っても土左衛門みーちゃんはさすがにぎょっとした。
でもショッピングモールの頃にはもうすっかりZQN慣れ。むしろZQNへ少なからず感情移入してしまっている自分がいた…。


今作のラスボス「高跳び選手」
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彼はひたすら高みを目指す!結果コミュニティの屋上へ到着〜。でも頭から着地は危ないと思うよ(ゾンビへのまともな突っ込み)。


一番爆笑したのはデブっちょの「おかわりくん」ですね〜。しかも厄介なことに彼は動ける方のデブ(笑)。血みどろで全力で向かってくるのはすごい迫力。3Dで観たいよ。
それからアベサンが奥さんと対面するシーンには思わず泣きそうになりましたね。買い物してばかりだった奥さんZQNが「あなた…」って言う(けどその後すぐ食べちゃう)。アベサンが「すぐに行くよ」って自殺するシーンはベタだけど、うるってきたなぁ。
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若者にいいようにされている情けない中年おじさん。わたしにとっては未だに引っ越しのサカイのイメージ。

最近はゾンビ映画自体が多い&いろんな種類がある印象(恋するゾンビ、ビーバーのゾンビとか…)で若干「もういいだろ」と言った感じなのですが(笑)、このZQNは実に日本的でオリジナリティあふれる設定だったのではないかと思います。



比呂美?

原作の比呂美と随分印象が違いました。これをどう思うか、原作ファンは受け入れられないんじゃないのかしらん。
ただ、わたしはそんなに原作に触れていないので、おや?と思ったけどこれはこれでよかったんじゃないかなと。守られる対象としての存在という意味では。扱いとしては「子ども」ですよね。
ただ、比呂美を「女」として扱わないなら、もうすっかり改変しちゃって、もっと年齢を下げるとか、守られる理由がはっきりと明確だとよかったかなとは思います。
英雄に比呂美を守る動機が薄いんだよな。例えば英雄には妹がいて〜とか、実はてっことの間に子どもができたんだけど〜とか、なんかバックボーンがあればな。そこはちょっと残念。



英雄は英雄(ヒーロー)になれたのか?

伊浦(吉沢悠)の策略により食料調達に失敗した英雄たち。セーフティゾーンだった屋上にも高跳び選手が現れショッピングモールは一瞬にして地獄絵図に。
英雄はヘタレが幸いしてロッカーに逃げ込んだことで何とか生き延びますが、無線から藪(長澤まさみ)のSOSを聞きます。「比呂美ちゃんはお前が助けろ!」英雄は勇気を振り絞り、ロッカーから飛び出します(ここの英雄の妄想シーンは、漫画ではできない表現でしょう)!
つまりこれはロッカーは子宮の暗喩で、英雄が新たな英雄として再び生まれ直したって事なんだろうと思います。

その後の英雄は人が変わったようにショットガンを撃ちまくり、藪と比呂美を救い出します。
ラストのショットガンフィーバー(?)はわたしには少し長く感じましたけどね、お好きな方にはご褒美タイムだと思います。
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無線からの「藪さん伏せて」→銃を構える英雄、のカット割には鳥肌が立った〜!大泉洋!お前かっこいいよ!!


何とかZQNを倒し、車でショッピングモールを脱出した3人。屋上からはZQNたちがその様子を見下ろしています。
このゆっくりと車が去っていくシーンは何となくヒッチコックの「鳥」を思い出しましたね。
束の間の安堵、けれども決して希望はない…。

車の中で藪は自分の本名は「小田つぐみ」だと名乗ります。英雄はというと、「ただのひでおです」と言うんですね。いつもは「えいゆうと書いて英雄」と言っていたのに。
彼は、その前に自分の両手を見下ろしています。ZQN=人外のものであるとは言え、人を殺傷したことに変わりはない…ヒーローは、決して気高く美しいものではない、痛みと苦しみを伴うものだと英雄は悟ったのでしょう。もう自分は英雄(えいゆう)を騙ることはできない、と。
そんな悲しみの表情をたたえた英雄がゆっくりと白んで行き、そこへタイトルの「(I am a)Hero」の文字が重なっていきます。英雄が自分はヒーローだと思うことはもうない。けれど藪と比呂美、我々観客にとっては、間違いなく彼は英雄(えいゆう)なのです。
フィーバーの後に来るこの物悲しいラストシークエンスはエンディングテーマの「home on the range(峠の我が家)」の切ないメロディーとも相まってとても印象的です。
彼らはもう、「我が家」に帰ることは二度とない。


…それにしても、食料が豊富なショッピングモールに残ってた方がよかったのでは?地下を封鎖して、館内放送とか使えばうまくZQNもかわせそうな気がするし…モゴモゴ。

そんなわけでつわり妊婦も非常に楽しめるゾンビ映画でした!
帰りがけに二郎系ラーメンをモリモリ食べて、心もお腹も満たされて良い気分で帰路に着きました〜…ってあれ?もしかしてつわり、治ってる??




原作漫画。最近チラ見したらなんかすごいことになってた。先日のEテレの漫勉って番組で出てきたのは19巻に収録の模様。


最近観たゾンビ映画はこれ。

気になるけどまだ観ていないゾンビ映画はこれ。ビル・マーレイが面白そうなんです。

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