ファンタスティック映画主婦

専業主婦の専業主婦による専業主婦のためにはならない映画ブログ。考察などとは無縁の感想文は基本ネタバレ。独断と偏見による☆評価 満点は★5 (2017年4月「苺チョコレートをまるかじり」よりタイトル変更しました )

さよなら、人類ーー眠くなるけど、つまらなくないし退屈でもない。むしろ面白いのに、やっぱり眠くなる…★★★☆(3.2)

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あらすじ
笑い袋などのパーティグッズを売り歩く二人の男、教え子にセクハラ(?)を働く女性フラメンコ講師、突如現代に現れる18世紀の騎馬隊、傘を忘れて土砂降りに降られるついてない男…。可笑しくも悲しい人間たちの姿を通し、「人類」と「死」を考察する。ロイ・アンダーソンによる「散歩する惑星」、「愛おしき隣人」に続く「リビング・トリロジー」の三作目。





この監督の前々作「散歩する惑星」はわたしにとって究極の【睡眠誘発映画】でしてね。もう多分ね、上映時間の半分以上は寝てたはずなんですよ(笑)。でもね不思議なことに、記憶としては「面白かった」んですねー。
眠くなる映画=つまらない映画ではないんですよね。眠くなるけど面白い。あくびは出るけど退屈ではない。「心地よい」っていったら言いのかなー。湯船で思わずうとうとしちゃう感じ?

で、次作の「愛おしき隣人」はかなり好きでした。しかもそんなに眠くならなかった。
そんなわけで、今回の「さよなら、人類」は映画そのものより「寝るか?寝ないか?」の方が気になってしまって(笑)。
えーと、結論から言うと、少し寝ました。数分くらい。
でも、面白かったですよおぉ〜!(説得力なし…)





以下ネタバレあり…っていうか全部がネタっていうか、あんまりストーリーはないので、バレるとかそういうのはない。多分。






今作含め、ロイ・アンダーソン監督の前2作とも、カメラは固定でワンシーンワンカットで撮られています。一つのシーンやシークエンスが終わるまで場面は切り替わらないし、カメラが動くことも、登場人物がアップになることもない。
これって、多分普通にやったらものすごい退屈になりそうなんだけど、画面の中の情報量(という名の突っ込みどころ)が多すぎて、「え、今何が起きてるの?」ってなる。
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例えばこのシーン。
メインは真ん中の電話しているおっさんなんだけど、注目しちゃうのはレストランの窓。そこに座っている女がいきなり号泣しはじめる。
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しかもよく見るとその男女ってこの前のエピソードで出てきたセクハラフラメンコ講師とセクハラされてたダンサーなのよね。
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めっちゃ体触ってる女講師。男の人は超いやがっている。なんなんだお前…。


他にもバーでセールスマンが話してるシーンではその隅っこでカップルがキスしまくっていたり、急に馬が見切れたり…。
そんな中で、なんの脈略もなく猿が実験されている映像が出てきたりする。
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かなりショッキングな映像でした。いきなりこんなのが出てくるんで気が抜けない(笑)。


それから気になった点としては、登場人物たちの顔色が灰色がかっていて、そしてだいたい猫背で、みんな不健康そうなところ(中には死ぬ人もいるしね)。それに合わせてるんだか、室内の壁もだいたい灰色っぽい。彩度は低め、全体的にくすんだ色合いが独特の世界観になじんでいます。そんな色味含め、セットや小道具に並々ならぬこだわりが感じられて、それを観ているだけでも十分楽しめるんですね。
冒頭、剥製のアート(?)を眺める中年のおっさんが映されるファーストカットからもうにやにやしちゃう。

ラスト近くのこの謎のオブジェには度肝を抜かれます。
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これはセールスマン、ヨナタンの夢のワンシーンという設定。中には囚われた黒人たちが入っているという恐ろしい装置。でもこれが一体何であるのかは全くもって不明…それがまた怖い(笑)。


そんな感じで、ストーリーを追うのではなく、まるで美術館や博物館の展示物を見ているような感覚で観賞するのが正しい見方なのかも?「このシーンはどんな意味が?」「このセリフで何が言いたいのか?」なんて考えずに。
まさに、考えるな!感じろ!と言ったところ。



とはいえ「ストーリーはない」なんて前述しちゃいましたが、個々のエピソードには絶妙な笑いどころもあります。
まず、一応の主役であるセールスマンのサムとヨナタンからしてもうおかしい。
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ヨナタン、もうちょい髪整えて営業しようよ(笑)。
そもそも面白グッズ(と訳されていたけど、いわゆるパーティグッズだよね)を売り歩くってのが意味わかんないでしょ!
そんな二人の行く先々では市井の人々が悲哀とおかしみに満ちた日常を送っているのであった…。

サムが髪を切ろうと出向いた床屋では、理容師がいきなり「以前は船長だったが船酔いするので辞めました。うまくできるかわかりませんが頑張ります」と要らぬカミングアウト。
傘をなくした男はずぶ濡れになりながら、「土砂降りの中講演会に行ったら中止になっていたんだ、当然ながら」と、今日1日の不運の顛末をとうとうと語りだす。
迷い込んだバーではタイムスリップ(?)してきた18世紀の国王(実はゲイらしく、バーの店員に一目惚れしたりする)と騎馬隊に遭遇する…。
「え?なんなのそれ?」といろいろ突っ込みたくなりながらも、思わず吹き出しちゃうようなシチュエーションが続きます。

ヨナタンとサムはといえば、グッズは全く売れないし、借金の取り立てが現れてもお金はない。しかもヨナタンは泣き虫で暗い…。そんなヨナタンにサムは「もうお前にはウンザリだ!」と仲違い。
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でもやっぱり「独りは嫌だ」と言って結局仲直りして映画は終わります…。なんなんだよおっさんたち!イチャついてんのか(笑)。


それから、電話をしている登場人物が必ず口にする「元気そうでなにより」、雨降り男が繰り返す「当然だが」、サムがパーティグッズを紹介する時の一連の文句「とっておきの新商品…歯抜けオヤジだ」など、重複セリフが多いのも特徴。同じことを繰り返すことが笑いを生むというのは、お笑いの基本みたいなところなんですかね。


この映画のニッチすぎるこだわりは、人によって「退屈」「つまらない」と感じるかもしれません。万人受けするようなエンタメ性は皆無なので、誰にでもおすすめできる映画ではないです。でも、わたしは好みでしたよ!
ぬるま湯で半身浴しているような、ほわーんとした心地よさに浸れますよ〜。






三部作BOXが出ているとは知らなかった…。装丁やラベルはかわいいよね。

ロイ・アンダーソン リビング・トリロジー Blu-ray BOX

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なんとなく連想した映画。趣は違うんだけどね、多分これ好きな人は気に入るんじゃないかなー?

不思議惑星キン・ザ・ザ [DVD]

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