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苺チョコレートをまるかじり

観賞した映画(DVD、TV放送含む)の感想をつらつらと書いていきます。独断と偏見による☆評価 満点は★5

シン・ゴジラーーごめんね庵野監督!ありがとうシン・ゴジラ!ネタバレあり注意!★★★★☆(4.5)

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あらすじ

ニッポンにゴジラがあらわれた!

 

 

 

わたしが「シン・ゴジラ」を非常に楽しみにしていたというのは、以前の記事にも書きました。
 

 

minmin70.hatenablog.com

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期待しつつ、でも不安も多々ある…という複雑な気持ちを抱えてこの数ヶ月過ごしておりました。そして、待ちに待った初日!

 

感想を一言で言うと…
 
 
 
 
ありがとうみんな!
ありがとうシン・ゴジラ!!
 
 
 
「すごいものを観た」と思いました。これは出演者、スタッフの方含めこの作品を作り上げた関係者の方々の熱量がそのままこちら側に伝わってきたからだと思います。「庵野さん大丈夫?」とか言って本当ごめんなさい…。
 
様々な感情が揺さぶられる映画です。特に3.11を経験した日本人にとって、ただのゴジラ映画以上のものです。少なくとも、ハリウッド版とは全く違うメッセージを我々に訴えかけてきます。これは、今の日本でなければ作れなかったゴジラ映画です。そして、今の日本人だからこそ受け入れることのできるゴジラ映画だと感じました。
とはいえ盛り上げどころもしっかりとありますので、エンターテイメントとしても見応えは十分だと思います。特にミリタリーオタの方々は大興奮間違いなし。
また、映画序盤はセリフ、映像共に情報量が半端ないです。鑑賞の際はなるべく万全の態勢で臨んだ方がよろしいかと思います。
まぁ、会話の半分も絶対に理解していないだろう4歳児が「ちょうおもしろかった!またみたい!」って言ってるくらいなので、聞き逃しても全く支障ないとは思いますがね…。
 

パンフレットは850円と少々お高めですが、スタッフインタビューが充実&写真も多めなので買って損はなし。

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しかも「ネタバレ注意」の帯付きという親切仕様。 

 

  

 

以下、重大なネタバレが続きます。必ず鑑賞後にご覧ください!

 

 

 

 

 

 

TOHOSCOPEのロゴにニヤニヤ。

映画のはじまりの東宝ロゴには思わずにやり。また、昔の東宝映画(もちろん平成ゴジラでも)ならおなじみ、ブルースクリーンに白文字で「東宝映画作品」と出てきた時には胸が高鳴りました(当時はもっと文字がユラユラしていた気がします)。

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スピーディな展開にこっちも混乱!

開始5分もしないうちに、物語は動き出します。いきなり東京湾上で爆発が起き、アクアラインが崩壊します。そして10分ほどで尻尾が出現。そこからは政府がてんやわんやする様と、異変が拡大する様が交互に映し出されます。この間のセリフは情報量が多過ぎ&場所や人名のテロップが多用され過ぎで、はっきり言って追いきれません!観ているこっちはパンク寸前(汗)。

でもこの序盤の、報告が二転三転する会議だったり、全くあてにならない有識者などは東日本大震災でも見受けられた傾向ですよね。混乱振りがよくわかります。

また、お役所描写もリアル過ぎ。会議するにも承認が必要だとか、面子同じなのに内容違う会議だからっていちいち場所変えるとか、お前らこんな時にそんなんしてる場合じゃないだろー!と(笑)。

 

 

シン化するゴジラ

まず、驚いたのが最初に現れたのが、ゴジラとは全く異なる怪獣だったこと!!

東京湾内から河川を遡上し、初上陸したのは、目がギョロリと大きく、黄味を帯びた皮膚にナマズのような動き。背びれの形状はゴジラにも似ているのだけど…。事前情報のない新怪獣か?とこちらが混乱しているうちに、その謎怪獣の形態が変化し始めた。

なんと、この怪獣が進化をとげて、ポスタービジュアルのゴジラになるという設定だったのだ!

 

これにはびっくり。今までもミニラやベビーゴジラなど、ゴジラの幼体の成長は見受けられたものの、ゴジラの形態変化っていうのは思いつきそうで思いつかなかった。これにはやられましたね〜。しかもこのナマズゴジラがまたキモかわいい(笑)。これのフィギュアも作ってくれよ。

 

また、今作のゴジラは単一進化していく怪獣=「完全生物」という設定なんですね。仲間もいないし、家族もいない。究極に孤独な生き物。

パンフレットで、キャラクターデザインの竹谷隆之さんのインタビューにはこうあります。

ゴジラは完全生物で、ピラミッドの頂点にある生物だから警戒する必要がないんだと。だから耳はいらないし、何からも身を守る必要がないから瞼もいらない。歯も何かを食べて生きているわけではないから噛み合わない乱杭歯でいい。

イメージデザインの前田真宏さんは、

なぜ暴れているのかわからないけれど、きっと苦しいんだろうと。放射能によって遺伝子が壊れて、自分でも予想がつかない奇妙な姿になっている。

と語っています。

望まずに完全生物となってしまったゴジラ。たった一匹で孤独に進化し続けるゴジラシン・ゴジラが痛々しく見えるのはその禍々しい様相からだけでなく、悲しみや憂いを帯びていると感じるからなのでしょうか。

そしてゴジラは新種の放射能を体内で生成していると判明します。それを聞いた矢口官房副長官長谷川博己)はゴジラを「人類の脅威であると同時に福音でもある存在」と表現します。この言葉は、そのまま原子力を意味していると言えるでしょうね。

 

 

やはり、災害と原発事故の暗喩だったゴジラ

ナマズゴジラが船や橋を押しのけ川を遡上する様子や、地を這いながら車や建物を容赦なくなぎ倒していく様は津波そのものです。

そう、このゴジラはやはり震災、言ってしまえば東日本大震災そのものであると考えていいでしょう。

また、ゴジラと永遠に切り離せない「核」というテーマも早々に明言されます。大田区、品川区周辺に甚大な被害をもたらしたゴジラは、突如東京湾に引き返して行きます。そしてゴジラが通った場所では基準値を超える放射性物質の存在が判明。その分布図は福島第一原発事故後の放射能汚染地図を想起させます。 

実はこの映画は、津波原発事故が東京で起きていたら?というシミュレーションでもあるのだと思いました。

 

形態を進化させ、より巨大となったゴジラは鎌倉に再上陸します。自衛隊の総攻撃を物ともせず、目黒にまで到達したゴジラは、米軍機から攻撃を受けた際、熱線を吐き出します。

しかも、その紫色の熱線は口からだけでなく、背びれからも発せられ、出動した米軍機は全滅。東京一帯は火の海と化します。

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このシーンの絶望感たるや…。もしかして「巨神兵東京に現る」的にこのまま焼き尽くされて終わっちゃうの…?と思いましたね。

これは原発事故の暗喩であり、エネルギー(電力)を無尽蔵に使いすぎる都心への警告ですよ(その証拠に、ゴジラ都心侵入の際には大規模な停電が起こる)。

 

矢口役の長谷川博己がパンフレットで

東京か破壊されていくところは(中略)自らが罰を受けているような感じを受けました。

と語っており、これはそのまま初代ゴジラに通じるものであると同時に、3.11後のわたしたちだからこそ受け入れなければならない罰なのではないかと思いました。

わたしたちは、様々な科学技術の恩恵を受けて暮らしている。人類の発展もそれに起因するものです。

しかし、その観念が揺らいだのが東日本大震災であり、原発事故でした。恥ずかしながら、わたしは原発事故が起こるまで、原発そのものに思い巡らすことなど一度もありませんでした。けれど事故が起き、たくさんの人が辛く悲しい思いをしているのを見て、これまで何の考えもなしに暮らしてきた自分を恥じました。

原爆、原発原子力そのものを我々人類は手にすべきではなかったのではないか…今ではそう思っています。

 

映画では、ゴジラにより東京は破壊されしばらく人は住めないし近寄れなくなってしまった。けれど実際に、福島第一原発付近ではこれと同じようなことが起きているのです。

それは決して忘れてはならないことだと思います。

 

 

「アンダーコントロール」に向けて

東京駅付近で完全に静止したゴジラですが、エネルギーが回復する360時間後には再び動き出すと算出されます。

それまでに国連による多国籍軍から核兵器の使用を余儀なくされる日本政府。しかしたった15日程度で東京近郊の全ての住民を避難させるのは困難であり、また、核兵器が使用されればもはや東京は壊滅を免れない…。

核兵器投下に反対する官房副長官の矢口は、ゴジラ対抗策として血液凝固剤を経口投与し冷却するという「ヤシオリ作戦」を立案。官民問わず様々な関係機関の協力もあり、作戦は実行に移されることとなる。

 

この、「ゴジラを冷却する」というアイデアは『ゴジラVSデストロイア』でも行われましたが、今作での作戦は明らかに原発事故の処理を連想させますね。

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白い防護服は原発の作業員のよう。また、防護服姿の矢口は作業にあたる自衛隊員に「命の保障はないが、今この国を守ることができるのは君たちだけだ」と熱弁をふるいます。これは当時の所長だった故吉田昌郎さんを思い起こさせますね…。あの時、もしかしたら現場ではこんなやりとりがあったのではないか…なんて思うと、思わず胸が詰まりました。

 

さて、作戦は犠牲を伴いながらも成功、ゴジラは冷却され完全に動きを止めます。核兵器投下は回避され、ゴジラの新種の放射性物質半減期が極端に短いこともわかり、復興に向けて希望も見出すことができます。

けれど、凍ったゴジラは変わらずにそこにある。矢口はそれを見つめ、「人類は、ゴジラと共存していかなければならない」と独りごちます。

このセリフはすなわち、「日本人は事故を起こした原発と共存していかなければならない」ともとれるんですよね。安倍さんの大好きな「アンダーコントロール」が成し遂げられたとしても、壊れた原発がなくなる訳じゃない。

永遠とも言える長い間、我々日本人は原発と放射性廃棄物とともに暮らしていかなければならないのです。

 

ラストカットはゴジラの尻尾のアップでした。そこには別の生物の歯や、人間の骨のようなものが確認できます。その様はあまりに禍々しく、怨念や呪詛のようです。

けれどもわたしは、あの尻尾には恐ろしさよりも、深い悲しみを感じましたね。わたしたちが科学の名の下に葬り去った生物や人々の怒りや悲しみがそこには宿っているのではないかと思いました。

 

 

音楽がいい!!

最後に、やはり触れておきたいのが音楽について。観る前までは「伊福部テーマはかからないんじゃないかな〜」と思っていたのですが、形態変化時や再上陸の際にかかりました。しかと『キングコング対ゴジラ』をチョイスするってのがまた…!

そして、わたしが熱望していた自衛隊マーチ、というか「宇宙大戦争」のテーマまでかかりました!それも、東京駅にいるゴジラ無人新幹線爆弾」が発車(この字でいいんです)される時という、最高のタイミング。後発に無人在来線爆弾も発車するよ!

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くらえっ在来線アターック!

何で永田町でも銀座でもなく東京駅なんだろう?と思ったんだけど、これがやりたかったんだね。

 

そして一番わたしが歓喜したのは、実はエンドクレジット。なんと最後の最後に、「ゴジラVSメカゴジラ」のテーマ曲が流れたのです!


第20作 1993年 【平成ゴジラ 第5作】 「ゴジラvsメカゴジラ」 予告篇 「Godzilla vs. Mechagodzilla II」 trailer

 

このテーマがわたしは大好きなので、本編が終わった時点では「星4つくらいかな〜 」なんて思っていたのにこれのおかげで0.5増やしました(笑)。

 

そんなわけで長々と書いてしまいましたが、とにかくゴジラ好きもそうでない人も、たくさんの人に見てもらいたい「ゴジラ映画」でした!続編は…できれば作らないでもらいたいなぁ。