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スター・ウォーズ/最後のジェダイ【映画・ネタバレ感想】未来の、ジェダイたちへ。★★★★★(5.0)

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スター・ウォーズ/最後のジェダイ (字幕版)

あらすじ

 ファーストオーダーの猛攻により、窮地に立たされるレジスタンス。レイアは戦いで払われた多くの犠牲に心を痛める。その頃、レイは伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーと相対していた。レイはルークにレジスタンスへの帰還を呼びかけるが、彼は手渡されたライトセーバーを打ち捨てる。そしてカイロ・レンことベン・ソロは、自らの手で父を殺めたことにより、一層葛藤が増していた。

 光か闇か、善か悪か。それとも…。

 

 

キターーーー!!!!

 今年もお祭りがはじまりましたよ皆さん!

 

 わたしも5歳の息子と公開を指折り数えて楽しみにしておりましてね、日曜日、満席の劇場で観てきましたよ〜。いやー、ほんとにね、ちょー楽しかったです!!息子も本当に楽しそうで(多分話の意味はほとんど理解していないでしょうが…汗)、一緒に観られてよかったなーと思いました。

 しかも今作はもろに親子映画なので(ていうかこのシリーズ全部そうだけど、今回は特に母と息子だったかなぁ…)、親御さんは結構刺さるシーンが多いんじゃないかと。

お子さんのいらっしゃる方には全力で親子鑑賞をオススメいたしますよ!!

トミカ スター・ウォーズ TSW-08 ファースト・オーダー AT-M6

トミカ スター・ウォーズ TSW-08 ファースト・オーダー AT-M6

 

息子はAT-M6が気に入ったみたいで、帰りにおもちゃをねだられたが…そういうのはサンタさんに言いなさいね!

  

 ちなみに、わたしとスターウォーズの関係については前作『フォースの覚醒』の感想に書いております。決して熱心なフォロワーというわけではございませんよ。

 

minmin70.hatenablog.com

 

 

新たな「時代」の幕開け

 旧3部作のオマージュに溢れ、魅力的な新しいキャラクターを構築し、イントロダクションとしては大成功だった『フォースの覚醒』。それに続く新たな物語としての2作目が、本作『最後のジェダイ』だったわけですが、結論から言わせてもらうと…

これは傑作ですよ!!素晴らしい映画でした!

 コレコレ!っていうオープニングにはじまり、ほろりとするシーン、はっとしたり、胸が熱くなるシーンの連続。とにかく気持ちの落ち着く暇がなく、特にラストカットはね…本当に素晴らしかった。今までのスターウォーズではあり得なかった、美しくて素敵なラストカットになってました。

 本当の意味で、本作が新たな3部作のはじまりなんだと思います。「最後のジェダイ」であり「新たなジェダイ(時代)」の物語でしたね。

 

 そういう意味でも、今回クローズアップされていたのはカイロ・レンです。前作では「厨二」だの「小物」だの揶揄されているところもあったカイロ・レンというキャラクターに、本作ではしっかりと肉付けがされ、彼の葛藤や苦しみ怒り悲しみ全てが理解できるように描かれています。とにかく今回はカイロ・レンに全て持っていかれましたね…。アダム・ドライバー、ますます好きになりましたよ。

f:id:minmin70:20171218194015j:image(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved

f:id:minmin70:20171218194106j:image画像カイロレンとレイ最後のジェダイ仕様のビジュアル&スターファイター | スターウォーズ部より

カイロ・レン最高ヽ(*^ω^*)ノ

 

 それから、 賛否を巻き起こしている新キャラ、ローズに関してですが…。

f:id:minmin70:20190202031204j:image

Rose Tico | StarWars.comより

わたしは大好きでした!

 鑑賞後に、不美人だの、ポリコレ枠だの、1ローズ=100ジャージャーだのと叩かれていると知って、少なからずショックを受けましたよ…(まぁディズニー要請のポリコレ要員の可能性は否定できませんが)。でも、でもね、これまでのスターウォーズの女キャラって大体王族だの家柄が立派な血統書付きの美女ばかりじゃなかったですか?(ジン・アーソだって父親は立派な科学者だし)ぶっちゃけ、そういうのもう飽き飽きだったでしょ?そこへこの、どこの馬の骨ともわからないずんぐりしたアジア顔(演じているのはベトナム系アメリカ人のケリー・マリー・トラン)のローズが現れたんですよ!歓喜ですよ!

 まぁ確かに、最初登場した時は「お前誰やねん」とわたしも思いましたけど、物語が進むにつれて増していく愛おしさ。終盤のフィンとの件の頃にはもう、「ローズ〜〜(泣)」でした。

 

 それに彼女は、あの感動的なラストシーンの立役者です。大いなるバトンを繋ぐ橋渡し役をやってのけたんですよ。主人公のフィンやレイではダメなんです。あの役目は英雄に憧れる、しがない整備士の彼女にしかできない。ローズは本作に必要不可欠なキャラクターだったと思いますよ!

 

 …と、ちょっと興奮して大分ネタバレてしまいましたが(汗)、以下もがしがしネタバレ全開で書いていこうと思います!ので未鑑賞の方は気をつけて〜。

 公開前から最後のジェダイとは誰?ルークが闇落ちするの?レイの出自は?…などなどの疑問に様々な予想と憶測が飛び交っておりましたが、それについて一言だけ。

「…素晴らしい。全て間違っている」

 

 

 以下ネタバレ!

 

  

 

 

 

「名もなき者」が「何者かに」なろうとする物語

 まず、オープニングの宇宙戦から心鷲掴みにされましたね。容赦なく撃墜されるレジスタンスの「名もなき」戦士たちが、自らの命と引き換えに敵の戦艦を破壊する姿は、昨年の『ローグ・ワン』を彷彿とさせました。

 

minmin70.hatenablog.com

 

 『ローグ・ワン』でも描かれた「名もなき者」というモチーフは、本作でも重要な意味を持って用いられています。オープニングの戦士のほか、レイの両親、ラストカットの子ども、そして新キャラのローズです。
 しかしこの『最後のジェダイ』があちらと違うのは、「名もなき者」が、「何者か」になろうとする物語であるという点です。
 実はレイもフィンも前作の段階ではまだ何者でもありませんでした。本作で、レイはジェダイになろうとし、フィンは本当のレジスタンスになろうとします。エースパイロットでもあるポーも、そして初登場の新キャラローズも、理想の自分になるために奔走しますが、それは自分の求める形では決して成功しません。

 物語の終盤にかけて、誰かから与えられる形で、彼らはそれぞれ「自分の役割」を見つけるわけですが、本作の作戦は全てそのための試練であるとも言えます(だからことごとく失敗する)。それは敵役カイロ・レンにしても同じです。

 

 また、曖昧な善悪を描くという点でも『ローグ・ワン』と共通していましたね。味方にも敵にもなるベニチオ・デル・トロ演じるDJ、金持ちの武器商人、華やかなカジノの表と裏。そしてフォースの光と闇。レイは自分の中の闇を見出だし、カイロ・レンは光への迷いを捨てきれません。

 何が善で悪なのか、それは語り手によっていかようにも変容する。まさかルークがそれを体現する存在になるとは思いもよりませんでしたが…。

 

  

レンによる「思春期の復讐」

 今作、メインとなるのはやはり前述した通りカイロ・レンです。カイロ・レンは何かというと、「親の理解できないオタク趣味に走った思春期の子ども」なわけですよね(うん、乱暴だね!)。思春期の頃に親との確執を抱えたわたしは、前作でも彼の境遇がとても不憫に思えたものです。今作でも、彼の辛さが痛いほどわかりました。

 才能を認められず、理解もされず、周りの大人たちからはただ従順さと血統を重視する高い要求をされる。もちろん最初はきっと、求められる通りの自分になろうと努力したことでしょう。けれどもその努力さえも否定され、場合によっては拒絶され、ますます大人たちへの不信感を募らせていったのではないか…。

 彼がダークサイドに落ちたのは、スノーク最高指導者のせいでも闇の誘惑だののせいでもなく、彼の周りの大人たちのせいなのです。それが本作ではっきりとしました。ルークが殺そうとしたのが問題ではなくて、レンの存在を否定してしまったことが闇落ちのトリガーだったんですよ。オビ=ワンのアナキンに対する姿勢もそうだったけど、それって思春期の子に一番やっちゃダメなやつだかんね!

 

 今回、カイロ・レンの怒りの矛先は、自分を否定した大人たちに向かいます。言うなれば今作は「帝国の逆襲」ならぬ親に対する「息子の逆襲」、「シスの復讐」ならぬ、大人たちへの「思春期の復讐」なのです!

 ルークはもちろんのこと、スノーク最高指導者も、本作ではレンにとって自分を否定した大人の一人なため、復讐の対象となりました。 

 ただ、母レイアに対しては躊躇してしまうんですよね。レンが葛藤して撃つのを止めたあのシーンは、否応無しにうるっときちゃったよね…(けど、その後にレイアが火事場の馬鹿フォース笑を発動させるのは、ちょっと笑った)。やっぱり息子は母の愛に弱いのね。籠城した犯人を説得するのだって、大抵田舎の母ちゃんでしょ!

  

 

人は、光も闇も併せ持つ。重要なのはどちらを見ているか

 大人への不信感を抱いていたのは実はレンだけではありません。レイもまた、親に捨てられた過去を持ち、拠り所を探している子どもだったのです。レイの親はお金のために娘を売った「名もなき人」でした。彼女はそれをわかっていながら認めようとはしなかっただけだったのです。

 前作ではハン・ソロに見出し、本作ではルークに期待したものを、レンと同じくレイも求めました。けれども二人ともそれを得ることは叶わなかった。レンはそのことで闇へ転じ大人への復讐を開始したのです。

 レンとレイは非常によく似ています。二人が強い繋がりを持っていた(スノークが繋いだだけではなかったと思います)のは、鏡のように互いを映す存在だったからです。

 絶望から目をそらし希望を夢見たレイ。周囲の希望を一身に受ける中で絶望に囚われたレン。そんな二人が共闘し、スノークの手下を打ち破るシーンはそれだけでもう胸が熱くなりました。しかし二人は、思いを分かち合うことはできても、共に生きることはできない。二人は光も闇も両方抱えていますが、レイは光を、レンは闇を見ている。見えているものが違うのです。

 レイとレンは、互いを結びつける媒介でもあったアナキン・スカイウォーカーのライトセーバーを、フォースの力で奪い合った挙句に破損させ、袂を別つのでした。

 おそらく、レイは闇の穴の中で、自分だけが映る無数の鏡を見て悟ったのでしょう。何でもかんでも親のせい大人たちのせいにして、過去にしがみついているだけでは何もはじまらない。自分の足で歩き自分の手で掴まなくては、と。彼女は自らの力で未来を切り拓くことを選んだのです。ルークがレイに課した3つ目のレッスンはまさにそれだったのだとわたしは思います。

 もちろんレイのその選択の先に、フィンの存在があったことを忘れてはいけませんが…。 

 

 

なぜ作戦はことごとく失敗するのか?

 フィンは今回、何度も計画に失敗します。脱出ポッドへの乗り込みに失敗し、人探しに失敗し、人選に失敗し、最後は自爆にも失敗します。レイを救うどころか、結局救われています。

 レジスタンス側のことごとく失敗する作戦、積算されていく犠牲。きっと誰もがこれは一体何なのだろう?と首をひねったことだろうと思います。無駄じゃねぇか?って。

 わたしはね、これって多分、メタ的な意味で本作(というか新シリーズのスターウォーズそのもの)が辿った紆余曲折そのものなんじゃないかと思うんですよ。

 新しいものを作ろうとして、失敗して、違うものをやろうとして、失敗して。失敗して、失敗して、失敗して。でも、先へ進む。その先に求める誰かが待つと信じて。「でも、意味はあった」と認めてくれる人がいると信じて…。

 つまり本作におけるフィンは、ライアン・ジョンソン監督の投影だったのかもしれない? 

 

 

ついに役割を得た主人公たち 

 …と深読みはさておき、前述したように、本作で描かれたのは「何者かに」なるための試練です。

 フィンはクレイトの戦いで玉砕覚悟でキャノン砲へ突撃します。彼は命と引き換えにレジスタンスになろうとしたのです。 しかし、ローズがそれを阻みました。フィンは彼女によって命を救われ、レイとの再会を果たすことができました。フィンは生き延びたことで、真のレジスタンスになれたのです。てか前作でもフィンは、常に救われる側…つまり実質ヒロインだったんですよね〜。次作では果たして、レイの王子になれるのか?!(笑)

 

 ポーは常に暴走していました。そしてそれは裏目裏目に出て多くの犠牲を出します。しかし、ホルト提督(ローラ・ダーン!)の選択やルークの背中を見て、「死」への責任と覚悟を知ります。無鉄砲なだけでは誰も救えない。最後にようやく敗走も正しい道だと気づき、レイアからも認めてもらうことができたのでした。

 

 レイもまた、ルークや仲間によって自分の居場所となすべきことを手に入れました。カイロ・レンはスノークを殺し、ルークを失い、大人への復讐を終えたことで、独り立ちすることができました。

 新シリーズの主人公である彼らが、ようやくスタートラインに立ったのです。

 

 

未来の子どもたちと「名もなき」わたしたちの物語

 特にわたしが本作で大好きだったのは、ラストシーンです。

 フィンとローズが訪れた星で、奴隷のように働かされている子どもたち。彼らはジェダイの伝説を語り合い、「レジスタンス」への熱い思いを胸に秘めています。そして、星空を過ぎる一筋の光・・・それはレイやフィンの乗ったミレニアムファルコンがハイパースペースへと旅立ったことを意味していました。それはまさしく、希望の光。レジスタンスの指輪をはめ、その光を見つめる「名もなき」子…。

 フィンも、元々は「名もなき」ストームトルーパーでした。フィンと行動を共にするローズもまた、陽の当たらぬしがない整備士です。二人は決して英雄ではない、英雄にはなれない立場の人間です。特にローズは英雄に強い憧れを抱いていました。そんな彼女がレジスタンスの指輪=未来に繋ぐ希望のバトンを、次の世代の子どもに手渡したというのが実に感動的です。そこには間違いなく「意味があった」。

 星空を見上げるその子の中には、きっとフォースが流れています。未来のジェダイかもしれない。でも彼らは、まだ「名もなき」子どもたちです。そして銀河には、同じような子どもたちがきっと大勢いる。それは目の前に広がる夜空の星々のように、小さいけれども無数に、確かに存在している希望の光なのです。

 ライアン・ジョンソン監督の『ルーパー』は、子どもの未来を信じる映画でした。きっと本作のラストシーンにも同じような意味が込められていると思います。

 

 また、あの「名もなき」子どもは、わたしたち観客でもある。一筋の光はもちろんこの映画そのものです。

 わたしたちを取り巻く世界は、決して正しいことばかりじゃない。どうにもならない現実に、くじけてしまいそうになる。

 それでも、時に自分を奮い立たせて、立ち向かうことが必要な時もある。今はまだ立ち上がれなくても、巨大な力に抗う勇気を、レジスタンスの精神を、正義の心を、フォースを、この映画を観て感じとって欲しい…ラストカットにはそんな願いも込められているように、わたしには思えました。

 本作は、運命を切り開く子どもたちと「名もなき」わたしたちの希望の物語だったのではないでしょうか。 「最後のジェダイ」は、わたしたちひとり一人の中にいるのです。

 

 

最後に

と、言うわけでまた長々と書いてしまいました〜!本当は「ポーグ、ただのぬいぐるみ要員じゃねーか!」「ヨーダ〜!!」「ハックスの小物感(笑)」「ぼくたちのプリンセス(泣)」「てか、スノークって結局なんだったんだよ!!」とかいろいろ言いたいこともあるけど割愛。今年中か年明けには字幕で2回目観に行きたいなぁと思ってますので、気づいたことあれば追記したいと思います!

 

 今作がスターウォーズシリーズの再構築と、新世代へのバトンであると考えると、 次回作のハードルが上がっちゃいましたね。さて、JJがどんな落とし前をつけるのか?楽しみに待ちましょう。

 フォースと共にあらんことを!

 

…ってその前にハンソロがあるぞ〜!!

 

 

スター・ウォーズ ぬいぐるみ S 最後のジェダイ ポーグ 高さ約16cm

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作品情報
  • 監督 ライアン・ジョンソン
  • 製作総指揮 J・J・エイブラムス、トム・カーノウスキー、ジェイソン・マクガトリン
  • 脚本 ライアン・ジョンソン
  • 音楽 ジョン・ウィリアムズ
  • 製作年度 2017年
  • 製作国・地域 アメリカ
  • 原題 STAR WARS: THE LAST JEDI
  • 出演 デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライバー、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー