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ファンタスティック映画主婦

専業主婦の専業主婦による専業主婦のためにはならない映画ブログ。考察などとは無縁の感想文は基本ネタバレ。独断と偏見による☆評価 満点は★5 (2017年4月「苺チョコレートをまるかじり」よりタイトル変更しました )

インターステラー ーーレトロでリアルな本格SF★★★(3.0)

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あらすじ
異常気象や植物の疫病で食糧危機に陥った未来の地球。元宇宙飛行士のクーパー(マシュー・マコノヒー)は、空への憧れや優秀な頭脳を持て余しながらも農夫として働いていた。ある日、娘のマーフ(マッケンジー・フォイ)が、部屋に幽霊が出る、と言い出し、その「何者か」からのメッセージが重力による暗号であると気づく。
そのメッセージを元に、地下組織と化したNASAの存在を知ったクーパーは、人類を他の星へ移住させるという「ラザロ計画」に参加することとなる。クーパーは娘の反対を押し切り、人類の未来のため、移住可能な星を探しに宇宙へ旅立った。必ず帰るという約束を胸に…。


鑑賞日  2015年11月20日




クリストファー・ノーラン監督によるSF大作。宇宙もの、というより時空ものがメイン。いや、宇宙の描写もすごかったけどね。ブラックホールをあんな風に映像化したのはすごい。あとね、ワームホール。明日から「ワームホールって球なんだぜ!」ってみんなに自慢する(←バカ)。
異星の描き方も、確かにこんな星ありそうだな、って感じだし、現在解明されている様々な宇宙理論をリアルに映像化しました!っていう印象。

なのにね、不思議なのは、世界観がどうにもレトロでノスタルジックなんですよ。
一応「空軍が廃止されて10年」だとか、「月面着陸は捏造だったと学校で教えている」なんて話が出てくるので、未来の地球のはずなのに。なんらかの異常気象か戦争で、文明が後退しているのかもしれないんだけど、どことなく70〜80年代感が漂う。
地球の生活がそんな感じなんで、NASAもね、未来感は皆無。特になんといっても、TARSちゃんの造形は見事という他ない!
正直度90%、ユーモア度80%の箱型ロボット。手(?)を付いて歩く感じとかね、超愉快。昔のパソコンみたいな顔もグッド。

おそらくこの映画が多くの人に受け入れられたのは、本格的なSF的事象や親子愛ストーリーももちろんだけれど、このどこか懐かしい世界観にも一因があるのではないかなぁ、と思いました。



以下、ネタバレしております。
そんでもって長文です。



















クーパーはね、なかなか宇宙へ行かないの(笑)。「あれ、これSFじゃなかったかな?」て何回か思う。
序盤にある程度時間をかけて、地球の置かれている危機的状況が語られていくんですね。それも説明的ではなく、例えば「大学に行くより農業に従事するべき」「プロ野球選手はいない」などのセリフから、「深刻な食糧難」で夢も希望もない、生活する(食べる)だけで精一杯だとわかる。軍隊の廃止(おそらく食糧難から戦争になったけど無駄に終わった)、砂嵐が頻発(雨が降らないor極端に少ない)、など、1語って9理解させる描写ですんなり入っていける。

クーパーと家族のやり取りも微笑ましくて、全然飽きない。なぜなら、娘役のマッケンジー・フォイちゃんが、めちゃくちゃ可愛いから!
笑ったり泣いたり怒ったり、どの表情も超キュートなのであります。あんな娘がいたら何が何でも家に帰って来たくなるでしょ絶対。
「部屋に幽霊がいるみたいなの(しょんぼり)」なんて言われた日にゃーわたしなら付きっ切りで見張るよ!(迷惑)

まぁ、そんなこんなで(笑)、クーパーがNASAに引き抜かれて(?)からは一気に物語が加速。あれよあれよと乗組員の説明もそこそこに、宇宙船エンデュアランス号に乗ってあっという間に宇宙へGO!なのであります。
最初の惑星では先遣隊の探査船も破壊していたことが判明し、津波に襲われ乗組員1が死亡。
その時にTARSがものすごい動きを見せるので、人が死んだことよりそっちのほうが衝撃だったよ。
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↑ぐりんぐりん!って感じ。

しかし、そのごたごたで時間を23年も無駄にしてしまったことが判明!いわゆるウラシマ効果というやつです。ブラックホールに近かった津波の星では、重力の影響で1時間が地球で言うところの7年に相当するのです。まぁ、そこの辺りを詳しく説明するのはわたしの仕事ではないので省きます(笑)。

でもね、相対性理論が〜とか、量子力学が〜なんて専門的知識がなくても、23年分蓄積された家族からのビデオレターのシーンで、すとんと腑に落ちる。理論ではなく感情で訴える方法。
息子には子どもが生まれ、娘は、出発した時の自分と同じ年になっている…。このシーンは本当に身につまされて涙が溢れましたよ。

そう、この映画での最大の敵はエイリアンでも、帝国軍でもなく、「時(空)」なのです。
ここまで真面目に、宇宙空間と重力と時間の関係について論じたSF映画も珍しいんじゃないかな、と。みんな適当に理由付けしてハイパースペースに入ったりして、銀河間をワープしちゃってるしね。
やっていることは完全に荒唐無稽なSFなのかもしれないけれど、この宇宙における時間の概念については妙にリアル。

早く帰らないと娘はどんどん年老いるし、地球はますます滅亡に近づく。文字通り、時間との戦い。
なので、距離のあるエドマンズの星ではなく、より近いマン博士の星に行くという選択をするクーパー。乗組員の一人、アメリア(アン・ハサウェイ)は恋人であるエドマンズに会いたいこともあり、「愛」を拠り所にした選択を説きますが、あえなく却下されてしまいます。
私情を挟むな、と言ってるクーパーだって早く地球に帰りたい=娘に会いたいって気持ちを優先させてるんだけどね。

けれど、マン博士の星も移住には適さない星だった。マンは、虚偽の信号を地球に送ることで、宇宙船を呼ぶ=自分は助かりたいという欲望に屈したんです。しかも自己愛と人間愛において持論を展開し、クーパーを殺そうとする。
驚いたのはマン博士がマット・デイモンでね。あれ、この人来年似たような宇宙映画出るよね?

マンは母船を乗っ取ろうとしますが失敗。探査船もろとも吹き飛ばされてしまいます。マンのせいで燃料と酸素を著しく消耗してしまったエンデュアランス号では、地球への帰還はもはや絶望的となります。
アメリアのためにもエドマンズの星へ向かうことを決意するクーパー。推進力を得るため、TARSの乗った探査船と共に、ブラックホールへ飛び込みます…。そこでクーパーが見たものは‼︎

本棚だぁあああ!
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↑全部本棚。
この無限に広がる本棚(の裏側)映像はとにかく、なんだかすごい、の一言。

ブラックホール特異点=五次元世界が、マーフの部屋の本棚の裏だったのです(ただしマーフ側から五次元世界には干渉できない)。
そしてクーパーは気づくのです。マーフの部屋の「幽霊」の正体を。
クーパーは、マーフとの別れ際、「幽霊はみんな子どもを見守る親なんだ」って言うのだけれど、「あれ、まじで幽霊ってオレだった!」ってなる。

重力の力を借りてマーフへ信号を送る五次元世界のクーパー。その信号を「愛」の力で感じ取るマーフ。そして重力の謎を解明し、人類の危機を救ったのでした…。アメリアもエドマンズから何らかの「愛」のシグナルを受け取っていたのかもしれないね。ブレーキランプが5回点滅したとか(無駄文)。
この、愛の受け手が女性っていうのも、ノーラン監督の女性観が現れている気がして興味深かったよ。

ラストは伏線回収のための時間、という感じなので駆け足感は否めないのだけど、まさしくヒラメイター!という具合。
五次元世界との接点が本棚だっていうのもすごくわくわくさせられる。マーフのいる地球は、月面着陸は嘘、学問も無駄。大事なのは食糧確保で、おそらく芸術も文学も奨励されてないような世界なんです。
でも、いやだからこそ、本棚が五次元世界と繋がったんだと思います。子どもにとって(いやもちろん大人にとってもだけど)、本棚は夢と希望の宝庫なんですね。



ただ、これだけ褒めといて満点じゃないのは、のれない部分もいくつかあったから…。
まず、映画を観た直後の感想は、「やはりこれは、アメリカの映画なんだな」でした。
なんとなくうっすらとアメリカ万歳臭さをわたしは感じてしまって、その度に引いてしまう所があったのです。そもそもNASA自体アメリカの機関なわけで。もしこの移住計画が地球規模の組織によるもので、「みんなで新たな星を見つけようぜ!」ってことだったらまた印象は違ったかも。
果たして、あのスペースコロニーには、日本人やペルー人、ハンガリー人やベトナム人はいるのだろうか?

最後に、アメリアがエドマンズの見つけた星で一人、適応しようとしている映像が映し出され、恐らく人類はその星を開拓し、新たな居住とすることになるんだろうと示唆されます。まさしくアメリカンフロンティア。
しかし、地球で生まれた人類が、他の惑星に移住してまで生きながらえるのは果たして正しいことなのか?と考えてしまう所があって。
いや、そんなこと言ったらこの映画を根本から否定してしまうのはわかっているので、ほんと馬鹿みたいだな自分って思うんだけど、でも言わずにはいられなくて、スミマセン。

人類はスペースコロニーに移住していて、すでに地球を捨てている。他の星に移住する事が可能と知った人類は、その星も地球と同じように使い捨てにするのではないか、と思った訳です。
それにもし、新たな星に先住生物がいたらどうするの?なんだか「インディペンデンス・ディ」のエイリアンや、「パシフィック・リム」のカイジューとやってることが同じに思えてきた…。
なのでラストシーンのアメリアは希望ともとれるけれど、絶望の始まりとも考えられるので、どうも手放しでよかったね、とは思えませんでした。

あと、農業の描き方雑じゃない(笑)?食糧難ならみんな本気出してこういうのにも力入れるんじゃないのかなぁ。


…なんて、難癖をつけてはみたものの、観ている最中はそんな茶々を入れる余地は全くないくらい、見事に完成された映画でしたよ!
とにかく非日常的宇宙空間にどっぷりつかれる、そして知的好奇心もしっかり刺激してくれる、稀有な映画体験でした。


TARSかわいい★★★★
マーフかわいい★★★★
総合★★★(3.0)




時空を超える親子愛と言えば。ラストの展開はかなりの反則技。

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地球が死ぬとわかっていても、仕事したり、普通に生活したりするんだろうなぁ、とも思う。

渚にて【新版】 人類最後の日 (創元SF文庫)

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「幽霊」が本棚から落とした本を紹介しているサイトがありました。意味を考えると、いろいろ楽しいね。